品川区の「市民自治」の現状は・・・?

3月29日「障害や病気を持つ家族をケアする子ども・若者たちに希望を」と題する学習会に参加。ヤングケアラーと呼ばれる若者の置かれた困難な現状を知った。写真はスピーカーのお二人。「自治体には『本人に障害や貧困など問題がない若者』が相談に行く窓口がない」という言葉に愕然。

地域に暮らす市民自らが、その地域を自治する社会。これは生活者ネットワークが目指している社会のあり方だ。

最近、2つの地域で開かれた住民によるミニフォーラムに参加する機会があり、市民の自治・地域の自治について改めて考えた。フォーラムのテーマは、一つは「地域に三世代交流の場を作りたい」、もう一つは「地域の将来的なまちづくりについて考える」だった。一見別々のテーマにも見えるが、参加者に共通していたのはそれぞれの地域が抱える課題についてきちんと把握しており「自分たちで解決の道筋を見つけたい」と考えている点だ。

両地域とも高齢化が進む一方で、若い人たちが移り住んできている。ところが違う世代が知り合い、交流する機会が少ないという。一方の地域では「たすけ合いたくてもお互い知らなければそれもできない」という意見が出て、必然的に世代間の意見交換も難しい現状が見えてきた。

将来のまちづくりを考える場合には、様々な世代や立場の人がお互いの意見を理解し合う場は必須だ。それがあってこそ、住民同士の自治意識も高まるのだ。ところが区に対して「そういう場をつくってほしい」などの意見を言いたくても「どこに言ったらいいのかわからない」と感じており、この点も両地域に共通するところだった。

多くの区民が同様に感じていて「意見も求められないままにいつの間にか様々なことが決まってしまう。」と、もどかしさを感じているのが品川区の現状だ。

品川区の行政は区民の意見は町会の意見を聴いて事足れりとしている節があるが、町会は自主活動を原則とする任意団体であることを忘れてはならない。区民意見の聴取に熱心な町会もあるが、あくまで自主活動であり責務として負っているものではない。結局区民一人ひとりに対しては「意見を言いに来れば対応する」という待ちの姿勢しかない。それについても「一念発起して区役所の窓口を訪ねたら盥回しにされた」という苦笑交じりの発言も出て、窓口機能さえ不充分な実態が露呈してしまった。

区民がまちづくりの主体者としてミニフォーラムなどを積極的に開き、議論して意見をまとめていく活動も大切で尊重されるべきだが、それらの意見を区政に反映するしくみを区としてもつくることが必要だ。品川区の区民憲章は「区民の政治参加」を謳っているが、宣言だけでなく、そのしくみを保障する自治基本条例の策定も急務だ。