市民と行政をつなぐ~せっけん運動推進のために!~

環境課長(左手手前)と河川下水道課長(左手奥)に対して、区民から直接水環境改善への想いを伝える。水辺の利活用を進める品川区であれば、もっと環境問題も強く打ち出してよいはずだが…。右手一番奥が田中さやか。その手前が吉田ゆみこ。

せっけん運動ネットワークは、毎年7月をシャボン玉月間と定め、それに先駆ける活動として所属する各団体に、自治体の首長にせっけん運動へのメッセージを依頼する活動を提案している。活動の趣旨はメッセージを依頼する活動を通して、自治体に対してせっけん運動の意義を伝え、例えば学校や保育園の給食室やトイレでは合成洗剤ではなく石けん利用を促すことにある。
身近な化学物質の危険性について強い関心を持つ生活者ネットワークは、この活動の趣旨に賛同して、自治体と環境活動を行う市民をつなぎ、協議の場を設定する役割を毎年担っている。

今年もせっけん運動ネットワークに参加している生協から依頼を受けて、6月10日に区との協議の場を設定した。協議に参加したのは生協組合員3人と環境課長、河川下水道課長。私と田中さやかもその場に同席した。
協議では率直に市民として環境問題への思いを伝えてメッセージを依頼し、環境課長からは区としての取り組みについて簡単に説明をしてもらった。

生活者ネットワークは、合成洗剤の問題点として「PRTR制度で危険物質として指定されているものが含まれている」ことを指摘し続けているのだが、なかなか区として「使用を禁止する」ことは難しいようだ。しかし、これまで協議を続けてきた成果として、「品川区環境基本計画」(2018年~2027年)に区民の役割として「食器洗浄時には、汚れをふき取り適量の洗剤を使用する…」や、水を汚さない家庭でできる工夫として「食器洗いや洗濯の洗剤、シャンプー等を使いすぎない」など「使いすぎない」事が表記されたことが示された。
しかし一方で、品川区の学校では、石けん利用がある程度定着していたにもかかわらず、再び合成洗剤に切り替わっている現状があるのだ。この日は改めて合成洗剤の問題点を指摘し、人体や環境への影響が少ない石けんを区有施設や学校などに置くよう求めた。

ほんの微々たる成果に対し、少し油断をすれば合成洗剤はあっという間に広がってしまう。行政へ粘り強く働きかけを続けること、そして、私たち自身が合成洗剤やその他の身近な化学物質の問題点を分かりやすく伝える活動を強めていくことも必要だ。

せっけん運動ネットワークが提案する本来の活動は、市民が直接区長に直接話をし、合成洗剤の危険性を訴えてメッセージを依頼することにある。実際他の自治体では、区長や市長が直接会って話を聞いてくれるところもある。しかし、残念なことに品川区長は「議員には直接会うが、区民と一緒では会わない」という姿勢だ。区が掲げる様々な計画には「区民との協働」が謳われているにもかかわらず、この姿勢はいかがなものか。市民と行政をつなぐことを大きな役割のひとつとしている生活者ネットワークとしては、これからも粘り強く区長と区民が直接会う場面を求め続けていきたい。(よしだ・ゆみこ)