原発ゼロ!食もエネルギーも地産地消! 東京の森林をエネルギー源として捉え直す
新聞に目を通していたら「混燃発電 CO2を削減」という記事が目に留まった。温室効果ガスの一つであるCO2削減の切り札として、チップやペレットにした木質燃料を石炭に混ぜて燃やす火力発電所が増えているのだという。特に再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りを電気事業者に義務付ける「固定価格買取制度」が導入され、優遇政策が始まった3年前からは、製紙会社や製鉄会社が運営する発電所にも導入が拡大しているとのこと。
生活者ネットワークはもちろん、じつは私もかねてより、日本の森林の可能性に大いに着目していたひとり。日本の国土の約6割は森林だと言われる。日本の水を保水・涵養し、土壌を育み、多様な生物を育てている森林。私たち都会に住む者にとっても、少し想像し考えてみれば、日々森林の恵みを享受していることがわかる。日本には資源がないとよく言われるが、エネルギーポテンシャルとしての森林の力はまことに大きいと理解することができる。
しかし、現実には(現在の経済のしくみの中では)、林業は成り立ちにくく、むしろ危機的状況にある。何か個人の力でもできることはないものか…。そうと考えてきて、実行してきたことがひとつ。我が家の暖房をペレットストーブに変えて、もう10年以上になる。もちろん、ペレットは国産材だ。
そんなこともあって「おおっ!」と思いながら興味深く記事を読み進んだ。でも残念なことにこの記事に載っている事例は、目的はあくまでCO2削減にあり、結局コスト面からペレットはカナダなどから輸入されたものが使われるのだという。勢い込んで読んでみて、正直がっかりしてしまった。でも、最後のコメントに「日本には伐採時期を迎えた森林資源が豊富にあり、その利用拡大も進めるべきだ。コスト削減には、火力発電所にペレット工場を併設して、廃熱を木材乾燥に利用するような工夫も必要となる」(熊崎実筑波大学名誉教授)と書かれており、本当にその方向に進めばよいと思った。
再生可能エネルギーというと、太陽光や風力による発電がつい注目される。もちろんそちらもどんどん推進していきたいし、生活者ネットや私の周辺でも太陽光や風力による市民発電所づくりが実体化されようとしている。ただ、視点がそこだけになるのはよくくないのではとも思っている。電力だけでないエネルギー、例えば熱エネルギーなどについても広く問題意識をもって、再生可能なエネルギー政策を考えなくてはいけない。
以前、東京・生活者ネットワーク主催、原子力市民委員会・市民セクター政策機構が共催する学習会で、大島堅一さん(立命館大学教授)のお話を聞く機会があった。大島さんによれば、そもそも原子力が「夢のエネルギー」と言われていた当初は、発電だけでなく動力などにも活用できると考えていたという。しかし、結局コスト面でも危険性というリスク面からも発電に使うだけにとどまっており(当たり前ですよね、原子炉を抱え持つ発電システムなのですから)、結果として原発が稼働していた時も、日本で必要とされる総エネルギーの1割を電気エネルギーという形で生み出しただけとのこと。そうなるとエネルギー安全保障上の原発の存在はとても小さいことがわかってしまう…。そこで、原発推進側の人たちは、ことさら世間の注目を「エネルギー=電力」というところに集めたがっているのも頷ける。
だから、いい加減、私たちがその土俵に乗ってはいけない!
けれど、私の駅頭遊説でのエネルギーの話も、つい発電と節電にとどまってしまいがち…。たった数分の遊説ではなかなかエネルギー総量のこと、電気エネルギーに頼り切るのでない、かつ政府が言うようなしかけではないエネルギーミックスの話にはいたりきれず、力量不足を痛感。だがしかし、東京の森林をエネルギー源として捉えることができれば「エネルギーの地産・地消」という政策は、グッとイメージが具体的になるはずだ。これからも、かつ早急に、いろいろな方たちの知恵や意見、事例から学びながら「原発ゼロ!食もエネルギーも地産地消」政策を、具体実践的に進めていきたい。<よしだ・ゆみこ>