まちカフェを拠点に、高齢者の埋もれたニーズを支援につなげたい

立春を迎え厳寒もピークを過ぎ、少しずつですが春めいたお天気に変わっていく予感…。このところ、生活者ネットワーク吉田ゆみこの活動をお知らせし、皆さんの声を聴く活動を行っています。

先日は、大井町を歩いていて独り暮らしの高齢女性に出会いました。84歳とのことですが、とてもしっかりされていてお元気。「まぁ、寒いから立ち話も」とお玄関先までお邪魔しましたが、とてもきれいにお住まいなご様子に感心!しきり。

前日にある大新聞の勧誘が訪ねてきたようで、――相手は大きな男性であり、有無を言わさず玄関まで入ってきてのことで、怖くて契約してしまった。本社に抗議の電話をしようと思っている――とのことでした。独り暮らしにつけこまれたと感じて憤懣やるかたなく、私たちにお話しくださったようでした。

新聞契約の話から、独り暮らしの不安へと話が広がり――一番の不安は、ご自分の死後の後始末のこと――独り身で子どもさんもなく、2歳違いの妹さんも離れたところに住まっておられるのだそう。一度は社会福祉協議会に相談に行かれたものの、どうにも納得がいく回答や示唆は得られなかったようです。そこで、まずは区役所の高齢者福祉課に行かれることをお勧めし、また、今はお元気で介護保険制度による支援などは不要であっても「認定」だけは受けておかれたらいかがですか? とも。そうすれば介護支援センターとのやり取りが始まり、何でも相談できる窓口ができるからです。真剣に聞いておられたので、少しはお役にたてたかもとうれしい出会いでした。

お宅を辞した後の道すがら、この日私と一緒に歩いていたメンバーと意見交換に。彼女も、そして私も介護の経験があるのですが、「自分たちの親の時には私たちがいたわけだけど、この方のようにお元気で一人で頑張って年を重ねてこられた方たちは、様々な支援制度とは無縁なまま過ごしてくるから、いざ必要になった時にもセーフティネットから外れてしまう可能性があるんだね…」。

この方は長年しっかり働いてこられて、社会の制度をしっかり支えてこられたのですが、そういう人が、いざ必要になった時に制度が使えないようでは困ります。こういうニーズを表面に浮き上がらせるにはどうしたらよいのか? 生活者ネットワークが介護保険制度開始以前から継続的に実施してきた、高齢者や介護者に聞く定点調査やアンケートなど聞き取り調査は重要ですし、ネットの政策立案のための基本情報です。行政による調査もあるものの、とくに元気なお年寄りとの双方向の情報提供・共有には至っていないのが実態でしょう。

そこで気づいたのが、新宿大久保で「ふるさとの会」が行っている「まちカフェ」でした。高齢者、障がい者を中心に生活全般をサポートするNPO自立支援センター「ふるさとの会」によるもので、誰でも、いつでも気軽に立ち寄れ、相談ができる、みんなのくつろぎの居場所の一つとなっています。埋もれていた支援対象者が「まちカフェ」に立ち寄ったことをきっかけに、多くの方へのサポート体制が広がりを見せています。<よしだ・ゆみこ>