初めての義務教育学校卒業式で。
桜の季節もあっという間に過ぎ、新緑の5月を迎えた。4月にそれぞれ新しいスタートを迎えた皆さんは、少し緊張もほぐれてきた頃だろうか。一方でそろそろ疲れも出る頃かもしれない。誰もが新しい環境で活き活きと過ごしておられることを切に願うばかりだ。
少し前のご報告になるが、この春初めての「義務教育学校」の卒業式に参加させていただいた。
卒業式では、校長が卒業生に証書を手渡す時、最初と最後の生徒には歴代卒業生に振られた番号を読み上げるのが通例だ。今年の卒業式で、最初の生徒に振られた番号「1番」が読み上げられると、会場に静かなさざめきが広がった。会場中が「新しい学校種の卒業式」を実感した瞬間だった。
式の中で印象的だったのは在校生と卒業生の送辞と答辞の両方に運動会の思い出が登場したことだった。義務教育学校として5年生から9年生で運動会を挙行した様子が、それぞれの目線から表現されていた。初めての経験に戸惑い、試行錯誤しながらリーダーシップを発揮し、5年生からの下級生をまとめ上げた9年生の達成感。その苦労を身近で見た8年生の尊敬のまなざし。その場面にいなかった私にも学年を超えた一体感が感じられた。
しかし、一方でふと懸念も沸いた。品川の義務教育学校は国の想定とは違っていて、7年生からの一定人数(2クラス)の「編入」が前提となっている。義務教育学校が特徴を出せば出すほど、「編入生」の疎外感は深くなりはしないか?
義務教育学校については、現在進行中の学事制度審議会の議論の対象となっている。義務教育学校設置の際、あまりにも拙速な決め方に対し、生活者ネットワークは反対をした。
今度こそ、様々な立場の人たちの意見、児童・生徒の意見を聴きながら慎重な議論によって結論を導くべきだ。