行政文書管理ガイドラインの改定。情報公開の行方は?
生活者ネットワークは「政治へ市民参加」を目指しており、そのためには、大前提として「行政情報の公開」が必須であると主張を続けている。
現在国では行政文書管理ガイドラインの改定が進んでおり、情報公開の視点からは気になるところだ。改定自体は以前より予定されていたものだが、問題はその方向であり、今回のガイドラインの改定は生活者ネットワークの主張とは逆行することが懸念される。(特非)情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんは「行政文書の範囲が狭まるのでは」と警鐘を鳴らす。例えば、改定案には「正確性を確保する」という理由で「文書」は「複数の職員による確認を経た上で、文書管理者が確認するもの」とある。本来法律上の「行政文書」の定義は緩やかなものになっている。公文書の正確性が確保されるというのは良いことのようだが、市民が知りたい情報は最終的な文書の内容だけでなく議論の過程であり、そこで出された様々な情報だ。改定案では文書の範囲が厳しく規定され、結果として情報公開の範囲が狭まることが懸念される。
昨年の11月30日に開かれた院内集会では、改定案に対して野党案が検討されているという報告もあったが、12月にはパブリックコメントが実施され、20日の公文書管理委員会では、パブコメでの意見も踏まえて一部修正の上で了承された。結局予定通り昨年中に決定し、年が明けた現在はガイドライン改定内容を踏まえて各行政機関が行政文書管理規則の改定が順次行われているとのことだ。
品川区では、行政に対して情報を求めた場合、情報を求めた時点で委員会資料や各種文書、HPなど、どこにも公開されていないものについては情報公開手続きが必要となる。そして、その情報については「原則公開」だが一つ一つ判断しながら公開か否かを決めている、ということだ。公開・非公開について行政の恣意的な判断が働くのでは?という懸念はあるものの、情報公開請求をして非公開とされた場合は、不服申し立ての権利は保証されている。また、「行政文書の範囲」について細かい制限をする規定もない。
国の動向は当然自治体にも及ぶ。しかし、自治体における「行政文書」は私たちの日々の暮らしに直結するものであり、情報公開の範囲が狭められるようなことはあってはならない。この点に関心を持つ多くの市民による厳しい監視の目が求められる。生活者ネットワークとしても注視していきたい。