オーガニック給食は是か?非か?
本年3月の品川区の予算特別委員会では、10月から開始されるというオーガニック給食に対して、会派を問わず様々な議員から疑問を投げかける形の質問が出されました。私も「教育費」を審査する日にオーガニック給食を取り上げました。
複数の議員から出された主な質問は「オーガニック野菜は形が不ぞろいであり、給食を作る現場に負担がかかる。負担増について現場の意見を聴いたのか?」「これまで学校給食の野菜の納入は、地域事業振興の視点から地域の青果店が行っていたのに、それらの青果店は切り捨てるのか?」「そもそも、そんなに多くのオーガニック野菜を確保できるのか?」などでした。
区からは「学校給食への有機野菜の導入は、国のみどりの食糧システム戦略に基づいたもの。」「オーガニック野菜だけでなく特別栽培農産物も活用する予定であり、納入業者からは量の確保はできる、と聞いている」などの答弁がありました。
しかし、3月7日発行の日本農業新聞には、実現性を疑問視する論調で品川区のオーガニック給食が取り上げられています。疑問視される理由はオーガニック野菜は生産量が少なく調達が困難だからだそうです。
同新聞には「農水省によると、学校給食で有機農産物を使った給食を提供した自治体は2022年度末の時点で193市町村。取り組み期間は1日から数週間、数カ月程度の自治体が多いとのこと。」とあります。そして農水省環境対策課によれば『地域の有機農家と相談し、調達可能な期間・品目で取り組むのが基本』だそうです。
品川・生活者ネットワークは「オーガニック給食」については基本的に賛成の立場です。私は2022年6月の議会での一般質問で、品川区の学校給食の質の確保を求め、「将来的に有機(オーガニック)野菜の導入も視野に入れて、これまで行ってきた産地との提携を強める」ことを求めています。
しかし、この度、区が提案したオーガニック給食は、産地との提携を前提としたものではなく、ある事業者から一括購入する、というものです。生活者ネットワークがイメージする「まずは産地との関係を作り、食べる約束のもとに有機野菜をお願いし、その野菜を学校給食に導入する」ものとは違っています。
3月17日に行われた「教育費」の審査の質問で、私は、基本的にオーガニックには賛成する立場を明言しつつ、3月7日の日本農業新聞の記事に示されている懸念を紹介し、これらに対する見解を求めました。
その上で、生活者ネットワークとしては「産地とのつながりを深める形での」オーガニック給食を望んでいることを表明。なぜ産地との関係にこだわるかといえば、「私たち消費者が一旦、農業者に有機栽培を求めたら徹底して食べて支えるという覚悟を持つべき」だからです。
有機栽培は生産に至る前の土づくりから厳しい基準があります。品川区が学校給食にオーガニック野菜を使うということは、農業者に厳しい基準の生産を求めることであり、そういう生産を求めるなら、消費者(品川区)として「学校給食にオーガニック野菜を使い続けて生産の現場を支える」という覚悟を持つ必要があります。
そして、消費者(品川区)の方もそういう覚悟を持つためには、前提として産地との関係性が必要と考えるからです。
様々な議論はありながらも、品川区の予算案は原案の通り、最終本会議を通過しました。従ってオーガニック給食も基本的に10月から始まることになると思います。しかし、これほど多くの議員から懸念を持った質問・意見が出された案件です。開始まで注視していきます。(よしだ ゆみこ)