「障害者権利条約」と「差別解消法」を学ぶ―みんなちがって、みんないっしょ―

 

文京シビックセンターを会場に開催された第34回アドボカシーカフェで、この日の発言者で、障がい当事者でもあるDPI日本会議の尾上浩二さんと(主催:ソーシャル・ジャスティス基金)。2月26日

この26日、ソーシャル・ジャスティス基金主催の第34回目となる「アドボカシーカフェ」に、品川ネットの井上八重子区議と同行。じつは品川にもお呼びしたいとかねてから思っていたDPI日本会議の尾上浩二さん、小児科医の熊谷晋一郎さんがこの日の講師と知ったから。アドボカシーカフェでの3時間は、表題の内容を学ぶとともに、健常であるかないかにかかわらず誰もが一人では何もできないという限界を持っていること、であれば、それぞれの障がいについて互いに依存しあえるような、たすけ合い支え合い分かち合う共生社会への一歩を、私たちはどう踏み出そうとするのか、自らに問う時間ともなった。

遡る20136月、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、いわゆる差別解消法が成立した。「改正障害者基本法」「障害者総合支援法」にかさねて成立した同法は、「差別的扱い」「合理的配慮の不提供」を禁止し、その解消を推進することによって、障がいの有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現をめざすもの。障がい当事者を中心に積み上げられてきた長きにわたる運動の成果が同法であり、障がい者権利条約の批准とともに、国もようやく制度改革に乗り出したと言ってよいと思う。

国の制度設計とともに今後は、自治体レベルでの取り組みが重要となるが、差別解消法の附帯決議には、自治体条例による上乗せ・横出しが可能であることが明記されている。自治体初の条例として制定を見た千葉県条例(2006年)では、条例制定に向け、私たちネットワーク運動を共にする「市民ネットワーク千葉県」のメンバーらが当事者運動と協働。政令市を除く基礎自治体では全国初の条例制定となった八王子市(2012年)では、この日の発言者でおられるDPI日本会議の尾上さんや、同DPI職員の中西正司さんらから多くを学びながら、八王子市・生活者ネットワークの議員・メンバーも支援にあたったと聞いている。その制定過程で、地域から「差別の定義」「紛争解決のためのあっせん・助言の機関」など自治体発の論考・検討が進んできているとも聞いている。

次は、ぜひ品川区で。生活者ネットワークの差別禁止条例を求める毎回の提案への区の答弁は、基本計画を確実に進めるといったもので、条例制定には消極的だ。が、であれば、まずは基本計画や施策の見直しへの当事者参画はもとより市民の参画を一歩前へ進めよう。なにより共に暮らす市民が「差別」について理解を深めることが重要だと、今日の尾上さんたちのお話から、つくづくそう思う。そのためにも、障がいのある子どもも、そうでない子どもも共に遊び、学び、育つインクルーシブ保育や教育が当たり前の子育ち環境が必要。であれば当然、実効性あるハード・ソフトを含めたバリアフリー推進策が実施されなければならない。

これらの課題を解決に向けるにあたっても障がい者権利条約の理念である「障がい当事者のことを、当事者抜きに決めない」をふまえること。それこそが、誰もが差別されない社会、互いに信頼し合い共に暮らす、そういう地域社会を築いていく第一歩なのだと思う。<よしだ・ゆみこ>