女性の職場復帰に高いハードル 保育所探し40カ所 預かり先が見つからない…

 

上大崎シルバーセンターを会場に行われたミニフォーラムのテーマは「子育て支援」。子育てするなら品川区といった評価とは合致しない現実。待機児童解消をはかれない現実が女性の職場復帰をはばんでいる。

「子育て支援」をテーマにミニフォーラム

上大崎1丁目で開かれた小さなフォーラムに参加した。主催された方は、長くこの地域のまちづくりに問題意識を持ち、地域のことを考えてこられた皆さん。

この日のテーマは「子育て支援」だった。もっと絞っていうと、働く女性にとっての子育て…、保育所の不足を何とかしたいというテーマだった。現に今現在、職場復帰をめざして保育所探しをしている方たちがお二人参加しておられた。お二人とも、受け入れてくれるところを探して30カ所、40カ所に問い合わせたという経験をお持ちだ。本当に厳しい現実に圧倒される思い。

前にも書いたが、品川区は23区内では保育所待機児童数も比較的少ない区、子育てしやすい区として移り住んでくる若い世代もあると聞く。でも、生の声を聴くと現実には切羽詰まった当事者がたくさんいることを痛感する。品川区は待機児童対策として2015年度、709人の受け入れ枠を拡大したということだが、それでも今年は1256人が希望する保育施設から(受け入れ)不承諾の通知を受け取ったという。この方たちはこれから、この日参加のお二人のように受け入れ先を探して奔走されるのだろう。超高齢社会を迎えて、若い世代の人口は少なく、女性の力はぜひとも必要だ。少子化も何とか食い止めなくてはならない…。この現状を、自治体の力と市民の力でなんとか変えていきたいと思う。

地域の力・市民の力で機能を作ることはできないか? ということで、この日は事例として生活クラブの保育園についての報告があった。生活クラブの保育園「ぽむ」は、「地域で安心して子どもを預ける場所が欲しい」「地域で子育てするために、生活クラブは何が出来るか?」そんな問いかけへの答えの一つとして立ち上がり、現在都内3カ所で事業を行っている。事業のためには、まずは場所の確保と地域で働く人材の確保が大前提なので、こちらも今日明日にすぐ間に合うというわけにはいかないが、「品川区でもできたらいいね…」そんな思いが膨らむ。

この日のミニフォーラムに一緒に参加していた井上八重子区議会議員からは、「一気に保育園まで行かなくても、家庭的保育など区の制度を使った小規模なものも考えてもよいのではないか」という提案があった。まずは、気軽に子どもと一緒に集ったり、ひと時子どもを預けられる「広場」事業の市民版みたいなものを考えるところから始めてもよいかもしれない。

そもそも、上大崎という場所は、公共施設がほとんどなく、この日会場となった上大崎シルバーセンターが唯一の施設。この施設を有効に使って何かしらはじめの一歩が踏み出せたらよいのにと思いながら、また集まることを約束して会場を後にした。<よしだ・ゆみこ>