吉田ゆみこの決算特別委員会報告

重症心身障がい児者通所施設『ピッコロ』を視察。施設長の堂本さんよりリラクゼーションルームの説明を受け、いすの座り心地を確かめハンモックも体験。左から同僚の田さやか区議と私、施設の堂本さん。(2015.9.2)

初めて経験する「決算特別委員会」が終了した。7日間にわたる委員会は、緊張の毎日! 緊張のピークは最後の「総括質疑」の場でピークに達した。以前、決算の質問に向けた準備中であることを報告したが、今は無事に終えることができてホッとしている。

◆第3回定例区議会・決算特別委員会にかかるご報告は、品川・生活者ネットワークHP(お知らせ欄)へ⇒http://shinagawa.seikatsusha.me/

分厚い決算書を渡され最初にページをめくった時には、ただの無味乾燥な数字が並んでいるように見えたものが、成果報告書や各種事務事業概要を読み、担当事務局に問い合わせ・ヒアリングをしながら、資料を検討していくうちに、この数字の向こう側にさまざまな区民の生活や活動が浮かび上がってきた。そうなってくるとさらに調べたいこと、質問したいことがどんどん出てくる。とはいうものの、生活者ネットワークに割り振られた時間は一日20分。しかも、なんと質問時間と答弁時間を合わせて、たった20分である。全部を取り上げるわけにはいかない。

やむなく絞り込んで今回は、議員になってから区民の皆さんから伺った区政へのさまざまなご意見を中心にして質問を組み立てた。私からは、◆「重症心身障害者施設ピッコロ」のレスパイト事業について、◆視覚障がい者の外出のための同行援助について、◆シルバーセンターの活用について、などなど…、質問をしながら、ご意見をくださった皆さんの日々の暮らしとこの数字が直結していることを改めて噛みしめた。

その中で一点。決算書をめくるうちに、ふと引っかかった数字がある。

区民住宅の家賃の滞納が年々積みあがってきているのだ。区民住宅だからある程度所得がある人たちが対象の住宅だ。所得があっても何かの都合で一時的に滞納する人はいるかもしれない。毎年一定の滞納が出ることは仕方がないだろう。しかし、滞納額が年々積みあがっていく状況は何を意味しているのかどうしても気になった。

私は議員になる前の活動の中で、生活困窮者向け貸付の活動と生活サポートにかかる事業に関わりがあり、事業の報告を聞く機会も多かった。そこでわかったのは、生活困窮は所得があるなしにかかわらず、陥ってしまうことがあるということだ。きっかけもみんなが思うようなギャンブルや浪費などではない。家族の大病とか勤務先の倒産とか本人に責任はないことが多い。

そんな時、なるべく早い段階で第三者の適切なアドバイスがあれば、生活を立て直すことが可能な人たちも多いのだ。

そういう経験から、「年々積みあがる滞納」に私のアンテナが反応した。滞納者へ単なる督促ではなく、早い段階の事情の聞き取りや適切なアドバイスがあれば生活の立て直しができ、また「家賃を払える人」になる人もいるに違いないと思って質問をした。

私の想像通り、「滞納が年々積みあがっている」のは、滞納者が増えるケースと同じ人が毎年滞納を続けるケースの両方があるようだ。対応の担当事務局は「素早くていねいな対応が有効」との問題意識は持っているようだが、現実には一律に事務的な督促や法的手続きにならざるを得ない状況らしい。

今年度から生活困窮者支援法が施行され、品川区も窓口を設けて相談事業を始めている。任意事業である家計診断も始めている。区営住宅の家賃滞納の問題も住宅の担当者だけではなく、生活困窮者相談事業の担当との連携も視野に入れて、まだ問題が浅いうちにていねいに対応する、そのことが家賃の滞納を減らすことにつながるのではないかと要望を述べた。今後も問題意識をもって点検をしていきたいと思う。

同僚の田中さやか区議とともに夢中で取り組んだ決算質問とそれに続く総括質疑だった。終わって今後取り組むべき課題が今までより鮮明に見えてきた。時間配分や理事者の答弁への切り返し方など反省すべき点も多々あったが、新人2人にとっては、まずは実りあるものとなったといってよいと思う。これからの活動と政策提案につなげていきたいと思う。

引き続き、暮らしの中で見えてくる困難や課題、医療や福祉の課題、子どもの保育や・学校環境のこと、図書館や公的施設、道路問題などなど・・・、区政の課題、評価点も含めて、ご意見・ご提案を品川・生活者ネットワークまでお寄せください。<よしだ・ゆみこ>