東日本大震災を経験した子どもたちと一緒に考える被災地支援~本当に必要なものは?

2016年2月2日 08時20分 | カテゴリー: 活動報告

東日本大震災子ども支援ネットワークが主催する、例年企画となった子ども意見交換会、「子どもたちと考える被災地の復興支援」で、5年目を迎える被災地の現状や被災地支援のあり方、要望などを発表する被災地の中高生ら。東洋大学白山キャンパス、2016/1/10

]昨年に続き、東日本大震災で被災した、子どもたちとおとなが一緒に考える意見交換会に参加した。
1月10日東洋大学(白山キャンパス)で開催されたこの会は、被災3県を中心に5つの地域から集まった子どもたちからの、それぞれの地域で行っている活動、これからの進路などについての報告で始まった。支援を受けた経験から今度は自分たちで支援を広げる側に立とうという動きや、もっと震災のことをきちんと伝えようという動きも始まっていて、震災を乗り越えてたくましく成長している様子を大変頼もしく思いながら報告を聴いた。昨年の出会いで見覚えた顔にも再会し、一年ですっかり大人びた様子に一年という時間の長さを実感した。そして、震災から5年という時間に思いを馳せた。

5つに分かれてのグループワークで、さらに課題を共有する子どもたち。

後半はグループに分かれての話し合いだ。今年の話し合いのテーマは「被災地への支援について、本当に必要で有効なものは何か?」。自分たちの経験をもとに、本当に役に立ったと思うこと・支援は何か、反対に見直した方がよいと思うものは何かを洗い出し、今後起きるかもしれない大きな災害への備えとして、国への提言にまとめようというのが狙いだ。
中高生向けの支援というのは、災害復興支援の対象から漏れやすく、阪神淡路大震災をきっかけに、社会的に注目されるようになったばかり。そういう意味では、東日本大震災の際にはいち早く、様々な団体が中高生を対象とした居場所支援・学習支援などに取り組むことができたわけだが、それら様々な活動の中から実際にどんな支援活動に支えられたか、有効と感じたかを具体的に出し合い、話し合った。

おとなたちは思い思いのグループの後ろでその話し合いの様子に耳を傾けた。私も一つのグループの話し合いの様子を聞かせてもらった。
「どんな支援があったか」「こんな支援で自分は変わった、こんな風に変わることができた」「ある支援によってこんな出会いがあった」など、日頃から子ども支援に係わっているファシリテーターの巧みな語りかけで、最初はためらいがちだった発言がどんどん活発になっていく。その中で重要な提言につながると思われるキーワードがいくつもでてくる。

フロアとの意見交換タイムで、私、吉田ゆみこもこの日の感想とともに、被災時に限らない子ども支援の広げ方について提起。

本当はいくつかのグループを回って全体の様子を見たいと思っていたが、一つ一つの発言に聞き入ってしまい、結局このグループに最後まで腰を据えることに。

子どもたちの発言を全て紹介できなくて残念だが、前向きに震災を乗り越えることができている、乗り越えようとしている子どもたちには、「○○さんとの出会い」と固有名詞で名前を挙げられるおとなとの出会いがあったことが言えるようだ。「震災支援として提示されたプログラムに参加することで、自分がモデルにしたい人やキャリアプランと出会い、そこから今の自分のキャリアプランにつながっている」という趣旨の発言や、「震災を経験することによって自分に協調性が生まれ、成長できたと思う」という発言もあった。支援プログラムによる出会いに感謝し、震災をも糧として前向きに成長する様子には本当に目を見張る思いだった。
そして、彼・彼女らは支援プログラムに出会うことによって震災を乗り越えてきた自分たちと比べてそういう支援に出会えない子どもたちに思いを致し、「さまざまな支援プログラムをもっと広く知らせるにはどうしたらよいか、参加のハードルを下げるにはどうしたらよいか」まで考えている。
また、「この意見交換会のように自分たちが表現し、発信する場がもっと欲しい、発言することが自分の考えをまとめることにつながっている」という発言も複数あり、どこまでも積極的。震災に限らない子ども支援の重要性をつくづく実感することにもなった。

この会を主催する「東日本大震災子ども支援ネットワーク」を震災直後からずっとリードしてこられた東洋大学の森田明美教授とお話をする時間があった。先生は「どうです、子どもたちは困難を抱えながら、ちゃんと考えているでしょう。この子たちに予算をつけなくてどうしますか」と。昨年の会は、一市民・一人のおとなとして子どもたちの声に耳を傾けたが、今年は区議会議員としての立場が加わった。一年間の子どもたちの成長ぶりにわが身を引き比べることにも・・・。大震災から5年。復興支援は転換期に入ったとされるが、被災地の子ども支援、復興まちづくりや、依然11万人にのぼる原発事故避難者と実情は決して生易しいものではない。政府・自治体・市民ができること、5年目だから必要な支援のかたちを見つめ直し、政府へ、自治体へ提起していかねばならない。
品川でも、これから2016年度の予算審議を控えている。この日聞いた子どもたちの声は、災害時に限らず行政施策の対象から漏れがちな中高生に対する施策に活かせることが多いと思う。基礎自治体の役割として、大災害への備えに限らず、日常から中高生を視野に入れた、とくに居場所や学習支援、まちづくりへの子ども・若者参画のしくみづくりの必要性を訴えていきたいと思う。<よしだ・ゆみこ>