羽田空港機能強化の現実は?

2016年2月10日 00時05分 | カテゴリー: 活動報告

豊富な経験に基づいて、羽田増便計画の問題点を次々に指摘される秀島さんのお話に、真剣に聞き入る。

豊富な経験に基づいて、羽田増便計画の問題点を次々に指摘される秀島さんのお話に、真剣に聞き入る。

1月21日に練馬・生活者ネットワークが事務局を担い開催した国政フォーラム「航空評論家に聞く、羽田空港機能強化の現実!」(主催:生活者ネット23区エリア会議)に参加し、昨年秋に引き続き航空評論家の秀島一生さんのお話を伺った。改めて羽田空港機能強化についての問題点について認識することができた。

その翌日の22日、以前より広報で我が家の近くで「第2フェーズ」の説明会があることを知っていたので、参加している人がどんな質問をし、意見を言っているのか知りたくて、様子を見に行った。

羽田増便問題について品川区の現状について、吉田ゆみこが発言。

羽田増便問題について品川区の現状について、吉田ゆみこが発言。

私も説明員に声を掛けられたので、「安全性への配慮」について訊いてみることにした。案内されたパネルの中に落下物の危険に言及した部分があった。成田では過去10年間で18件あり、羽田ではゼロ件だったと書いてある。成田については私が思っていたよりも多い。そして羽田については完璧な誤魔化しだ!

以前の報告にも書いたが、現在羽田へは東京湾上空を通って着陸をしている。落下物の危険は着陸に備えて機体に格納してあった脚を下す時が多いと言われている。本来操縦のタイミングとしてはまだ機体が千葉県上空にある時に脚を下すのがベストなところを、国土交通省が「落下物の危険があるから、東京湾上空に出てから脚を下すように」という「勧告」を出しており、航空各社もそれに従っているということだ。

一番落下物の危険が多い操作を「危険を避けて」海上で行っているから、落下物について「羽田の事故件数は把握ができていない」というのが正しいのだ。もっと言えば成田の事故件数も報告があったのが18件ということであり、山中などに落ちた分は把握できていないのだ。

そのことを指摘し、これはわざと市民を誤解へと誘導しようとしているのではないか、と突っ込んでみた。「いえいえ決してそのようなつもりは…」ということだが、私も秀島さんのお話を聞いていなければ、気付かなかったかもしれない。誤魔化すつもりがないのであれば「このような誤解を招く表現はやめてほしい。明日もこの場で説明会をするならすぐに修正してほしい」と申し入れたが「明日までの対応は難しい」と言う。翌日が難しいならそのあとは修正されるのか?「ご意見としてお聞きします」いうことだったが、これから説明会のところがあれば行って確認していただきたいし、重ねて、氷塊など落下物内容、落下物防止対策、落下物による損害が発生した場合の賠償に関する資料の提示、住宅密集地である都心部で落下事故が発生した場合の想定している被害などを、しっかり説明するように、多くの方の声で、それぞれの立場から説明を求めてほしいと思う。

そもそも、一つの表記への不信は、掲示物全体への不信につながる。航空機の検査体制、管制官の勤務体制などもっと突っ込みたかったが、いかんせん専門知識不足でかわされてしまった。秀島さんも「自分がそこにいれば反論できるのですがね。ともかく日本の航空行政・航空事情は危険きわまる。そもそも羽田に集中させる増便計画そのものが問題」とおっしゃっていた。そういう専門家通しのやり取りを聴いてみたいものだ。

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この日の会場では、何人かが突っ込んで意見を言っているのを見かけた。激高している方もあってさもあらんと思う一方で、おおむね冷静に且つ鋭く追及している方が多かった。総じて「安全性への不安」「騒音の懸念」がやはり主だったがそれだけでなく、全体として「国への不信」があったように思う。「最初の説明が遅すぎた」「今後の航路の変更ということだが既に少しずつ変更されているのでは? 最近頻繁に品川上空を飛んでいる」「意見は出すけどどうせ計画通りやるんでしょ?」などなど…。そばで聞いていた私も思わず肯いてしまう。

23区上空を飛ぶ時間が15時から19時に制限されているというが、「一度飛び始めたらなし崩しになるに違いない」という人が多い。私自身「落下物事故羽田0件」の表記を見つけた時、誤魔化しを見つけて驚くよりも「やっぱり…」と思ってしまった。きっとそういうことをするだろう、とどこかで予測していた自分があるし、これまでゼロだった飛行機が日々私たちの事情を15時から19時まで集中して飛び続けるという、生活者・市民にすればふって湧いたような計画ではないか。

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年明け早々、起きた夜行バスの事故は理不尽にも若い命を奪い、本当に痛ましく、且つ憤りを禁じえないことだった。心からご冥福を祈りたい。

報道は事故を起した会社の杜撰な運営体制や安全管理を書きたて、その背景にあるバス業界の下請け構図にも言及している。もちろん、どのような事情があろうとこの会社の責任は限りなく重い。そして、バス業界の問題も根深いと思う。しかし、さらなる背景には経済性を最優先する社会全体の構図が見えてしまう。安さ競争に走り、しかもその中でも強い立場の者はしっかり利益を確保しようとする結果、安全の確保は後回し、優先順位はどんどん下がっていく。同じことが航空業界で起きないとは言いきれまい。いや、安全を確保するための規制がすでにいくつも緩和されており、まさに国土交通省主導で起きつつあるのではないかと深く憂慮する。

羽田問題に関しての国土交通省の対応は「とても丁寧だが暖簾に腕押し」というのが多くの方たちの感想だ。しかし、ここであきらめるわけにはいかない。最大の敵は「あきらめ」かもしれないのだから。羽田増便問題は単に新航路の下に住む人々だけの問題ではなく、広く航空行政の問題、もっと言えば「人の命よりも経済を優先させようとするこの国の政策全体」に共通する問題だということをさらに多くの人に訴えていきたい。<よしだ・ゆみこ>