2016年度予算特別委員会報告② 重度心身障がい児の保護者のためのレスパイト事業が一歩前進

先日、朝の駅頭での区議会報告を終えての帰り道、あまりきれいだったので一枚。朝の駅頭遊説は三文の得?

先日、朝の駅頭での区議会報告を終えての帰り道、あまりきれいだったので一枚。朝の駅頭遊説は三文の得?

今回は「民生費」の質疑についてご報告したい。

民生費というのは、「福祉」に関する分野の費用だ。生活者ネットワークに寄せられるご意見や問い合わせが一番多いのがこの分野。従って質問したいことがたくさんあり、限られた時間を有効に使おうと、質問の絞り込みに苦慮するのもこの分野だ。

今回はまずは良いことのご報告。昨年の決算特別委員会でも取り上げた、重度心身障がい児の保護者のためのレスパイト、すなわち休息のための事業が少し進んだ予算建てになっていることだ。

この事業は2012年、事業の対象となる方たちはもちろんのこと、区議会の中でも多くの期待する声があり、これらを受けて始められた事業だ。ところが、一向に利用が進まず、2014年に至っては利用実績ゼロという始末。少し調べただけでその原因は、使いにくいことと委託先の受け入れ態勢が整わないことにあるのがわかった。間違いなくニーズはあるのだから、これは何とかせねばと思って決算特別委員会での質問に取り上げた。

使いにくさについては、そもそも送迎がないことが一因であることは分かっていた。

委託先の受け入れ態勢については、情報公開制度を使って委託先との契約内容を調べ、担当部署のヒアリングを繰り返した。要は委託契約通りに受託した事業者が事業を行っていないのだが、よくよく訊いてみるとそもそもの委託契約に無理あり、事業者だけの問題ではないということがわかった(詳しくは品川区のHPに掲載されている2015年の決算特別委員会の議事録を参照してください)。

昨秋の決算特別委員会ではこの2点について質問したのだが、今回の予算書では新規事業として「重度心身障がい児(者)の保護者のための、在宅でのレスパイト事業」が計上されている。また、施設でのレスパイトについてはその施設運営に関する委託金額が増額されている。プレス発表を見るとその増額分はレスパイト事業に充てるものであることが読み取れ、これで受託事業者としても受け入れ体制を整えることが可能になったと推察される。

今回の質問では、在宅でのレスパイト事業は「施設でのレスパイト事業を使いにくい人たちへ対応する趣旨か」と確認したところ、そういう趣旨であるとのこと。実際どのように運用されていくのかはまだこれからであり、また、施設でのレスパイトについても本当に有効に使われるのか、引き続き当事者の声を聴きながら関心を持っていく必要があるが、まずは一歩前進したと評価したいと思う。

民生費では、このほかに生活保護費の医療扶助に係る質疑、視覚障碍者の同行援護と、それに関連して障がいのある人が65歳になった時、利用する制度が「障がい福祉」から「介護保険」に移行するにあたり起きている問題について質問した(こちらも詳しくは品川区のHPから、議事録を見ていただけると幸いです)。

この日の質問を終えて感じたことがある。こうして議会の中で議員と担当部署がやり取りをしながら確認している制度と、実際に行政の窓口で当事者が説明をされている制度にずれがあるのではないかということだ。窓口で説明を受けた人が「自分はこの制度は使えない」と誤解してしまうケースがあるのだ。これは、昨年の決算特別委員会の中でも同様に感じた。

誤解の原因は一概には断定できない。しかし、制度を熟知しているのは行政窓口の側であることは確かだ。つまりその制度の知識については優位にあるということ。優位にある人が「当事者の立場に立って」より丁寧に説明することと質問しやすいよう配慮することが必要だ。

この点については予算特別委員会の最終日、品川・生活者ネットワークとしての「意見表明」に盛り込んだが、福祉の制度は障がい者福祉も、生活保護も結構複雑でなかなか全体を理解しにくい面がある。介護保険の制度も然りだ。制度も変わっていくから利用する人も大変だと思う。私自身も介護保険など、自分の両親のために調べた時とは状況が違っていて戸惑うことも多い。

だからといって、制度やサービスが必要なヒトに届かないのであれば、地域福祉も自治体サービスもあったものではない! 私も、当事者の方たちの意見により一層耳を傾けながら、制度のことを深く知り、改善すべき点を調べて提案していきたいと思う。<よしだ・ゆみこ>