第一回定例議会報告その② 予算特別委員会 

4月6日、恒例の桜の花びら調査を今年も実施。桜の異常と放射能の関係について調査を続ける「サクラ調査ネットワーク」の活動趣旨に賛同して、毎年継続している。

 第一回定例議会では、例年予算特別委員会が設置されて議長を除く39人の議員が次年度の予算審議を行う。今回の審議では、2016年度最終補正予算、2017年度一般会計、各種特別会計について、一部疑問は残ったが、全体としては進めるべきことが多いと考えて賛成した。

疑問というのは、予算案全体を通して見た場合の個々の政策同士の整合性についてだ。

品川区は、若い世代に区の魅力をアピールし「子育てするなら品川区」と謳っている。毎年、他自治体から移り住む人が多くて人口が増加し、乳幼児人口も増えている。そして、税収も見込み額を上回る年が続いている。このこと自体は、評価すべきだろう。

しかし一方で、保育待機児は減らない現状がある。区はこの要因を「品川区に魅力を感じて移り住む人が見込みより多かったため」として、若い世代に魅力をアピールしてきた区政の成果ともとらえているようだ。しかし、区の魅力をアピールして呼び込んでおいて「保育園が足りない」では「子育てするなら品川区」の魅力はどこにあるのか?ということになる。

また、保健師の不足も問題だ。若い世帯が増えて乳幼児が増えれば、当然保健センターの役割や保健師の役割も重くなる。今、品川区の保健センターのキャパシティは満杯と聞く。健診では赤ちゃんを抱いて立ったまま長く待たされることも多いという。保健師の労働負荷も心配だ。

 

視点を変えてまちづくりを見直すと、多くの人に品川区に移り住むことを促し、また品川区に存在する水辺を観光資源として観光客を呼び込むという政策と、川の水をきれいにすることを目指す合流改善事業との整合性も気になる。品川区の合流改善事業については2016年12月9日にご報告しているのでそちらをお読みいただきたい。

品川区に住む人が増え、また観光客が増えれば当然下水道の負荷は増え、それがキャパシティを超えれば合流式の下水を持つ23区の宿命として汚水は川に流れ込む。雨が降ってそれが下水に流れ込めばなおさらだ。汚水の流入は観光資源としての川の価値を損なう。それを防ぐのが合流改善事業であり、品川区は東京との連携でこの事業に力を入れている。その点は評価したい。しかし、その事業で目指している改善の目標と、その他のまちづくり政策は連動してこその「区政運営」だ。それらの政策同士の連携は果たしてとれているのか。

シェアサイクル事業と自転車走行の安全対策の整合性も気になる点だ。シェアサイクル事業は、観光客の区内での移動手段として提案された新規事業だ。自転車は排気ガスも出さず、エネルギーも使わない移動手段であり、活用は歓迎したい。しかし、それは安全対策がしっかりしていることが前提であるのは言うまでもない。近年、自転車による事故、しかも重大事故が増えており、国が2016年12月に自転車活用推進法を定める一方で、東京都は同年10月に「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を改正して、安全対策を強化しており、努力義務ではあるが自転車を利用する人に保険加入を義務付けている。区の事業としてシェアサイクルを進める以上、安全対策は万全を期すべきだ。例えば自転車レーンの整備はどうなのか?区内の車道を見ても、この自転車レーンは本当に安全に走れるのか?と首をかしげる例も多く見られる。また、走行ルールは自転車に乗る人だけでなく歩行者にも徹底してこそ安全対策となるはず。その徹底はどのように行われるのか?この点については、予算特別委員会の款別審査で「土木」の項目で取り上げたが、追求しきれなかった。

 

以上のように、個別の政策だけを取り上げれば評価すべき点もあるが、政策同士を突き合わせると矛盾が見える。「款別審査」という制約と時間の制約の中で款を超えた政策の連動についてどのように問題点を明らかにして提案までつなげるか、今後力量を高めていかなくてはいけない。年度が改まり、今回可決された予算が執行されていく。これらの問題については、後追いのヒアリングなどを行いながら、引き続き注視していきたい。