障害者福祉計画には当事者の視点を!
先日の厚生委員会に「地域福祉計画改訂に伴う区民アンケート』について報告があった。
現行の「第二期品川区地域福祉計画」は、本来は2020年までの計画だ。しかし、本計画と密接に関連する「やさしいまちづくり計画」が次年度区切りを迎えるのを機会に、両計画を統合して総合的な地域福祉の推進を図るという。本アンケートは、来年度実施する計画改定作業を効果的かつ効率的に行うために、事前に日常生活や社会参加の状況を調査するのが目的だ、ということが明記されている。
アンケートだけで、区民の状況が全て把握できるものではないし、集計結果の分析は事業者に委託するようだが、その分析を次期計画にどの様に反映させるのかについてはこれからの課題であり、注視していかなくてはならない。しかし、区民の状況を把握する手段の第一歩としてのアンケート調査は基本的な手段であり、実施は妥当だ。
ところが、品川区障害者福祉計画は今年度が次期計画策定の年であるにもかかわらず、最低限の調査となる障がい者へのアンケートを実施しなかった。理由は、4年前の現計画策定の時には行ったから、というものだ。アンケートに代わるような有効な調査も行ったわけでもない。4年前とは社会状況も当事者の状況も変化している。何らかの手段で調査を実施すべきだった。
計画の基礎となる調査不足については障害者団体から請願が出され、全会派一致で採択になった。当事者に対しての現状やニーズの調査は計画策定の基本中の基本だ。
情報提供にも課題が多い。例えば新しい施策を始めようとした場合の情報提供だ。
今、南品川3丁目の品川児童学園の跡地に(仮称)品川区立障害児者総合支援施設の建設が進んでいる。開設は2019年4月の予定で、地上6階、地下1階の建物で、障がい者・高齢者・医療系の様々なサービス機能が提供される予定だ。品川区は障がい者福祉の施設の数が少ないため、新しい施設の建設は障害者の方たちとご家族から多くの期待が寄せられている。一方で、説明会が限られた人たちのみを対象とされたため、自分たちはこの施設利用の対象者となるのか否かがわからず、期待と不安が相半ばという声も聞こえてくる。障がい者とその家族とってはこれからの生活設計にも関わることだ。本来であれば詳細の設計が固まる前に当事者の方たちへの説明会を開き、意見や要望を聞き取る機会を持つべきだった。
品川区は、様々な計画の中に「区民との協働」を繰り返し謳っている。協働のためには的確な情報提供、それに基づく議論の場の設置、そして広く意見を聴取して施策に活かす、どれも欠かせない。それらがきちんと制度として確立していないところに品川区の福祉の根本的な課題がある。