くらしと家計の相談室・千葉を訪ねました。

「くらしと家計の相談室・千葉」の相談員、庄妙子さんと一緒に。田中さやか(右)と吉田ゆみこ(左)

1月11日に千葉にある「くらしと家計の相談室・千葉」を訪問し、いろいろお話を伺った。当相談室は生活クラブ・千葉が運営しており、千葉市から生活困窮者支援事業の内、家計相談事業と貸付事業を受託している。

2013年生活困窮者自立支援法が制定され、2015年4月に施行となった。かつて一億総中流社会と言われた状況も過去のものとなり、所得格差を示す相対的貧困率は16%とも言われるようになった状況を受けての法の成立である。包括的な相談支援である自立相談支援事業が自治体の必須事業とされ、その他任意事業として本人の状況に応じた支援を提供することができる。これらの支援は現金給付ではなく自立に向けた人的支援を有期で提供することが基本とされている。

品川区は2015年当初より自立相談支援だけでなく、任意事業の1つである家計相談も実施している。家計相談まで取り組む自治体は現在に至るまであまり多くない。しかし、困窮している世帯に対する立ち直り支援のためには、家計の出入りを見直すことが必須だ。そういう意味で品川区が制度開始当初より家計相談にも取り組んだことについては評価をしているのだが、その事業の具体的な実施状況などが事務事業概要による報告では把握できない。2017年10月に行われた決算特別委員会の款別審査の際に、現状を確認したところそれなりに相談者への支援は進んでいるようだったが、今一つ相談事業や家計診断の事業状況が把握できず有効な政策提案も難しいのが現状だ。家計相談事業に取り組んでいることは評価しているだけにもどかしい思いをしており、家計相談にとどまらず貸付事業にも取り組んでいる千葉の事例を学びに行った次第。

「くらしと家計の相談室・千葉」の相談員の庄妙子さんから、事業を始めた経緯や相談の際に心掛けていること、相談から見える社会の現状など多岐にわたって様々伺った。

相談者は、自分の現状を何とか改善したいと思い、当然自らの意志で訪れるわけだが、それでも実際の相談で自分の生活をすべてさらけ出すわけではない。

さまざま資料を示していただきながらお話を伺う。質問も様々させていただいた。有効な提案につなげていきたい。

特に家計相談の時にはなかなか本当のことは言わないそうだ。言われてみれば確かにそうだろうと想像はつく。

しかし、本当のことを言ってもらわなければ有効な支援にはつながらない。相談者の本当の課題を把握するためには「まず友だちになるところから始める」という言葉には「さもありなん」と肯くと同時に、この事業の難しさを垣間見た気がした。

また、相談者と相談室の両者だけで生活を立て直すのではなく、相談者の周辺にサポートしてくれる人を定め、その人と一緒に自ら立て直していくよう促すのがこの相談室の方針だそうだ。「ひとりにしない」というのもなかなか大切な視点だと感じた。

その他にもさまざま提案につなげられる視点についてヒントを得ることができた。今後ほかの事例なども調査しながら品川区の制度への提案につなげていきたい。