「良い香り」って本当に良いの?~第一回定例議会予算特別委員会から

2018年4月15日 19時25分 | カテゴリー: 活動報告

今年も「さくら調査ネットワーク」の調査活動に参加して、桜の花びら調査を実施した。(3月28日)放射能と桜の花びらの異常の関係を大勢の市民参加で継続している。今年はがくが4つしかない花が多く見られた。理由は不明。

「隣家の洗濯物の匂いで具合が悪くなった」などの声が多数聞かれ、今、柔軟剤などの過剰な香りが問題になっている。

私も朝、庭に出るとどこからともなく「良い香り」が漂ってきて残念な気持ちになることが多い。新緑、若葉の季節を迎え、品川のような都会であっても早朝は「春の匂い」を感じる貴重なひと時なのだが、現在は人工の「香り」によって侵害されている。ずいぶん前から「香害」という言葉が聴かれるようになり、私が参加している教育のNPOでも以前市民講座テーマとして取り上げた。しかし大手メーカーの大量コマーシャルの力は強く、状況は改善されず、認識はなかなか広がらない。

品川区の第一回定例議会の予算特別委員会では、同僚の田中さやかが質問の1つとして「香害」を取り上げた。保育園で貸してくれる衣類の柔軟剤の匂いがきつく、保育園に申し出たところ「ほかにも同様の意見が出ており、対応を検討する」と言ってくれたとのこと。

その経験をもとに、学校現場での対応について質問した。学校では給食当番のエプロンなどが自分の順番が終わると家庭で洗濯をして次の人に手渡すのだが「前の人が使った柔軟剤が気になって…」という声が生活者ネットワークには届くからだ。

そのため、一般的な「香害」の要因は消臭剤や芳香剤、洗濯の仕上げに使われる柔軟剤など多岐にわたるが、今回の質問は柔軟剤に絞って問題点を指摘した。

問題点は主に3点。一つは香りそのもの。隣家の洗濯物、隣にいる人の衣類の匂いで気分が悪くなった、頭痛や吐き気がする、周囲に訴えても理解してもらえないなどの相談が国民生活センターや日本消費者連盟には多数寄せられている。厄介なことに常用している人たちは香りに慣れてしまい、あまり感じなくなるようだ。だんだん使用量が増えて、本来の目的である柔軟剤としての必要量より多く使うようになる傾向がみられるという。

一般的に香料は、ベンゼンなど石油由来の化合物をもとに、種々の化合物を加えて作られた複合化学物質だ。合成香料は空気中で揮発し、鼻・口から吸いこまれたり皮膚からも体内に取り込まれるということを認識しなくてはいけない。

2つめは「香りを長持ちさせる」ために香り成分を閉じ込めておく微小なカプセルだ。それによって少しずつ香りを放つようになっている。問題は合成樹脂であるそのカプセルの材料だ。合成樹脂原料として極めて毒性が強いイソシアネートが使われている可能性が高いという。そう考える根拠として、国内でこの方法を使う製品製造特 許が2000年代になって増加していることが挙げられる。イソシアネートはポリウレタン製品など身近にある者の原材料で、合成樹脂(高分子=ポリマー)の状態なら安全と言われるが、光や摩擦、酸やアルカリなどで分解してしまう。分解して単分子(モノマー)になると揮発して空気を汚染する。工事現場ではウレタン発泡断熱材の吹付け工事や塗装工事中の吸い込みによって死亡を含む健康被害が出ているという。そのために日本でも産業労働現場では規制されている物質だ。それが日常生活の中で洗濯という行為で安易に使われている可能性が高いのだ。

3つめは柔軟剤としての本来の目的、洗濯物をふんわり仕上げるための成分だ。その効果があるのは陽イオン界面活性剤で、その成分として多用されているのが塩化ベンザルコニウム(第4級アンモニウム塩)だ。この物質は、国際的な有害評価システム(GHS)に基づく厚生労働省・環境省の有害性評価でも生殖毒性があるとされているものだ。安易に多用すれば、健康被害の恐れがある。(参考:「市民版環境白書2017 グリーン・ウォッチ」編著者:グリーン連合「グリーン・ウォッチ」編集委員会 発行:グリーン連合)

学校給食のエプロンの場合、柔軟剤を使うのは同級生の家庭であるため、臭いが気になっても表立っては言い出しにくいのが現状のようだ。従って社会的な認識は広がらず、今回の質問の答弁も通り一遍であったし、他の議員も「何をそんなに気にするのか?」という反応が多いように感じた。しかし、行政職員の中には質問に対して強く肯いて共感を示す人もいた。きっと他にも悩みながら言い出せない人は他にもいるに違いない。日本では化学物質の危険性についての認識が低く、国も死亡事故などが表面化しない限りなかなか規制しようとはしない。化学物質過敏症で悩む人は多く、生活者ネットワークにも声は届くが「変人扱いされたくない…」と表立った発言は控えてしまう人もいる。

生活者ネットワークは、以前から合成洗剤や農薬、ごみ焼却によるダイオキシンなど化学物質問題に取り組んできた。また、私は議員になる前には長く石けん運動に取り組んでおり、家庭の中の化学物質について表示制度の問題も含めて啓発活動をしてきた。現在も、その当時つながりができた有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ)の会員となって情報を得ている。

今回の質問に対する行政や議会の反応を見て、改めてこの問題を多くの人たちに啓発していく必要性を認識した。(よしだ ゆみこ)