リニア中央新幹線「大深度地下使用の認可申請に関する説明会」に参加しました。

2018年5月21日 18時11分 | カテゴリー: 活動報告

4月1日「百害あって一リニアなし」と題する講演会が開催された。講師は辻信一さん(文化人類学者)とアーサービナードさん(詩人)。写真はそれぞれの講演後の対談の場面。リニア新幹線の問題点が分かりやすく示された。

5月10日(木)、大井町きゅりあんの8階大ホールでリニア中央新幹線の説明会が開かれた。この事業は、2014年10月国土交通大臣が工事実施計画を認可したもので、生活者ネットワークは当初より反対の立場だが、どのような説明が行われるのか確認のために参加した。

説明会の主催はJR東海(東海旅客鉄道株式会社)。開催の趣旨は「大深度地下使用の認可申請に関する説明会」、3月20日の認可申請にともない事業区域の沿線の住民に申請内容について理解を得るためということだ。

まず、資料を基に大深度地下使用とはどういうものか(制度や定義など)と大深度地下使用認可申請の内容(事業の概要と目的、事業区域、安全の確保、環境の保全等々)の説明があり、その後質疑応答が行われた。質問はなるべく多くの人が発言できるように、という趣旨で「ひとり三問まで」と限られた。もっと質問がある人は一通り質問が出尽くしたら、二巡目の質問ができる、ということだったが質問の手は次々上がり、途切れることはなかった。20時までの予定だったが1時間延長となり、それでも質問は出尽くさずに「会場の都合」で21時に終了。二巡目の質問をするために待っていた人もいて不満を残すものとなった。「なるべく多くの人が質問するために」というルールはもっともだが、質問が二巡に行きつかなかった要因は質問のポイントをはずすような応答にあると感じた。最初はあまり挙がらなかった手が答弁を聞いてどんどん増えていく。「認可申請には説明会が義務付けられている」のでアリバイ作りの説明会だったでは?と疑わざるを得なかった。

質問の全部はご報告できないが、前の質問者に対する答えに納得できず複数の人が質問したのが「トンネル工事に伴う発生土の処理」と「事業開始後の乗客の安全確保」の問題だ。聴いている私自身ももっともな質問だと思ったので、ここで簡単にご報告しておきたい。

まず、工事に伴う発生土の問題だ。東京~名古屋間で約5000万㎥、都内だけでも600万㎥の土が発生するという。膨大な土砂の行く先はどうなるのか?誰でも気になる問題であるし、行き先の決定は工事開始の大前提であったはず。ところが、大深度地下使用認可を申請した現段階でも未だトンネルの発生土の行先は決まっておらず、これから関係各機関と調整しながら決めていくと言う。曰く「トンネル全長の土砂の行先を決めることは前提となっておらず、現在関係各機関に調整のお願いをしている」云々。現在行われている脱出のための立て坑から発生した土の行先は国交省の事業に使われることが決まっており、城南島に運び込まれているようだ。確かに全長分の土砂の使いみちを決めてからでないと…、と言うのは合理的ではないかもしれないが、全く決まっていないのに大深度地下使用認可が申請できてしまうのも納得がいかない。この答弁には当然ながら納得がいかず複数の人から繰り返し質問が出た。

また、事業が始まった後、もし車内で急病人が出た場合、また震災などによる大きな事故が起きた場合の救援体制についての質問も複数出た。これについては「今も新幹線事業は行っており、急病人や事故が発生した時のノウハウはすでに持っている。それをもとに救援体制を構築する。」と言う。しかし、多くの人の心配は「大深度地下を走っている車両内での急病人発生」や「大人数が大深度地下の列車内にいた場合の震災」だ。答弁はいずれもこのことを認識していないのでは?と疑ってしまうものだった。脱出口は5㎞毎、エレベーターに一度に乗れる人数は40数名程度という。素人がちょっと考えても、現在の事故発生に対するマニュアルや経験だけでは全く役に立たないことがわかる。また、地下からの脱出は当然エレベーターを前提としているわけだが、大震災で停電になった時の電源はどうするのか?列車には非常用電源のバッテリを積んでいるというが、どうも列車の電源のように聞こえた。全員を運び出すまでのエレベーター用の電源のことまでは答えが無かったように思う。危機管理と言うにもあまりにもお粗末ではないか?

他にも電磁波への懸念や、大深度地下の定義への疑念など質問が重なればかさなるほど疑問は増すばかり…。曖昧なままに許可申請をしてしまったという感は否めない。事業内容以外にも、この説明会開催の数が少ないこと、開催の広報の不充分であることなど、本当に「事業区域の沿線の住民に申請内容について理解を得る」意志があるのか疑ってしまう。

最後に「この日の説明会で質問しきれなかったことについては、問い合わせをして欲しい」という案内があった。以下にご案内するので、少しでも疑問のある方はどんどん問い合わせをしていただきたい。

東海旅客鉄道株式会社   中央新幹線東京工事事務所 03‐6847‐3701   環境保全事務所 03‐5462‐2781

※受付日時:土・日・祝日・年末年始を除く平日 9;00~17:00

生活者ネットワークとしてもこの問題は今後も追及を続けていきたい。(よしだ・ゆみこ)