無視しちゃいけない!電磁波の問題。

東京・生活者ネットワークの環境部会で開催した電磁波学習会(2015.12.15)の様子。講師のお話に皆熱心に聴き入った。

電磁波の健康への影響、中でも子どもたちへの影響を懸念している。最近は、スマホの依存症が社会問題として顕在化しているが、電磁波の影響も無視できない。以前ある区民の方から、お連れ合いが「電磁波過敏症と化学物質過敏症で体調が悪いが、理解してもらえない。こういう問題があることを認識してほしい。」というお葉書をいただいたことがある。是非お話を伺いたいと申し出たが、ご当人は「変人扱いされる」と、一歩が踏み出せずにおられるようだ。

前回ご報告したリニア中央新幹線の説明会でも、電磁波の影響を懸念する質問も何人かから提起された。また、説明会の翌日に「日にちを間違えて説明会に参加できなかった、他で説明会が開かれるところを教えて欲しい」という方に出会った。ご自宅の真下がリニア中央新幹線のルート計画あたっており「電磁波の影響を受ける体質なので本当に困惑している」とのこと。説明会での答弁は「問題ない」とするものだが、感受性の強い人が納得できるような明確な根拠が示されたわけではない。

生活者ネットワークは電磁波問題については予てより大きな懸念を抱いており、2015年10月に行われた決算特別委員会で、区立小学生全員が携帯を義務付けられている「まもるっち」の電磁波リスクについて、質問をしたがこちらの準備不足もあって、リスクについての客観的科学的に有効な根拠が示せなかった。「そんなこと気にしてたら何にもできないよ!」という他会派からの不規則発言(いわゆる野次)に大変悔しい思いをした。

その後東京・生活者ネットワークの環境部会で市民科学研究室の上田昌文氏を講師に電磁波リスクについての学習会を行い、改めて問題点などを学んだ。

学習会では、講義の後実際に家庭にある家電製品から出る電磁波を電磁波測定器で計測してみたが、計測の条件設定をそろえてデータを取るのがなかなか難しいことがわかった。

リスクについては様々あることが理解でき、「ないがしろにできない」という思いを一層強くしたが、一方で電磁波の存在を専門家でない我々がどうやって把握できるかが大きな課題であることもわかった。

放射線のように一定の道具を用いて手順を踏めばある程度客観的なデータが得られるものではない、ということだ。生活者ネットワークが得意とする「おおぜいの市民による調査活動」で政策を練り上げるという手段が使えない。

それでも電磁波は確実に存在し、健康への影響に警鐘を鳴らす専門家もいる。体の不調がありながら原因を人に理解してもらえず悩む人の声も確実に聞こえてくる。存在する以上、不調を感じていない人へも何らかの影響が必ずある。化学物質過敏症のように何かのきっかけで突然感受性が強くなる人もいる。

誰もがスマホやタブレットを便利に使いこなす今の社会で電磁波をなくすというのは現実的ではない。でも、少なくともそのリスクを認識し、機器類と上手に付き合うことで余計な電磁波にさらされないようにするなどの方策はあるはずだ。なかなか大きな声に出来ない人たちにこそ寄り添い、議会の中で政策提案していくのが生活者ネットワークの役割だと改めて肝に銘じたい。(よしだ・ゆみこ)