どこへ行く?品川区議会~その4

議長不信任の決議をめぐる顛末の続きをご報告する。

本稿は、先日の臨時議会のご報告の続きでもある。8月24日の臨時議会の招集通知によれば、そこにかけられる議題は『品川区長選挙と品川区議会議員一般選挙の同日開催を求める請願』一本のはずだった。しかし、24日当日の本会議前の議会運営委員会で「松澤利行議長の辞任を求める決議」が出されることが判明した。

招集通知に記載されていない決議文が提出されたことについて、議会運営委員会では当然質問が出たが、地方自治法の102条の5項に次の定めがあり、その項目に当てはまるという説明だった。

地方自治法102条第5項:臨時会の開会中に緊急を要する事件があるときは、前二項の規定にかかわらず、直ちにこれを会議に付議することができる。(ちなみに前二項とは以下の通り。 第3項:臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集する。第4項:臨時会に付議すべき事件は、普通地方公共団体の長があらかじめこれを告示しなければならない。)

つまり、他の名目で開かれた臨時議会で審議すべき「緊急を要する事件」と判断されたということだ。しかし、いまさら言うまでもなくこの件はずっと争われてきたことであり、しかも品川ネットとしては「これは議会に持ち込むべき問題ではない」という見解である。地方自治法102条5項に当るとは思えない。議会運営委員会に席を持たない生活者ネットワークはそこでの主張は出来ず、この決議文は臨時本会議にかけられることになった。これまでが不信任動議の提出であったものが今回は決議文として議会にかけられたため、本会議で討論の機会があり、品川生活者ネットワークとして反対討論を行った。

しかし、これまでの動議の賛否では棄権という態度を取り続けてきた公明党も今回は決議に賛成し、決議文は可決となった。しかし繰り返しになるが、議長には法的に決議に従う義務はなく、辞意は表明していない。

肝心の招集理由となった案件については前回のご報告の通り、「本当に臨時議会まで開く必要があったのか?」と疑問を抱く肩すかしの結論だったことを考え合わせると、議会開催の本当の目的は議長不信任だったのか?と疑ってしまうような展開だ。議会の混乱は解決していない。議会は区民のためにあるという当然のことが忘れ去られていると思わざるを得ない品川区議会の現状だ。(よしだ・ゆみこ)

生活者ネットワークの反対討論は以下の通り

品川・生活者ネットワークを代表し、議員提出第2号議案「松澤利行議長の辞任を求める決議」に反対の立場で討論します。本決議案は「議会の正常化」を求めて議長に辞任を迫る内容となっています。

しかし、現在の議会の混乱のそもそもの原因は「現議長とその議長を各会派に対して推薦した品川区議会最大会派の自民党・子ども未来」両者の意見の齟齬にあります。その両者の間で話し合って解決を図るべきところ、問題を議会に持ち込んだこと自体が議会の混乱の根本の原因です。「会議の定時開会ができないなど大きな混乱をきたした」とありますが、定時開会ができなかった原因は議員が定時に議場に参集しなかったことにあり、それぞれの議員の判断に責任があると考えます。議会の正常化については品川・生活者ネットワークとしても望むところですが、それは、そもそもの原因となった現議長と「自民党子ども未来」がそれぞれの責任において図るべきことであり、議会での決議にはふさわしくないと考えます。

この考えに基づき、本年7月30日付けで現議長と「自民党・子ども未来」の両者に同じ内容の申し入れを致しました。申し入れ文については次の通りです。

 議長不信任を巡る議会混乱収拾に向けた申し入れ

表記の件につきまして、以下のように申し入れを致します。

1.2018年第2回定例議会において、本会議が議会運営委員会で定められた日程通り開催できず、長時間にわたって空転してしまったことは大変遺憾な事態と認識しております。

2.この問題は、議長ご本人とその議長を推薦された「自民党・子ども未来」の皆さんの意見の齟齬に端を発しております。従って解決はそのご両者間で行っていただきたいと思います。

3.本年第3回定例議会にはこの問題が持ち込まれることが無いよう、お願いをいたします。

以上です。今もその見解は変わっておりません。

従って、本決議には反対をいたします。

以上で、品川・生活者ネットワークの反対討論と致します。