どこへ行く?品川区議会~その5 振り上げたこぶしの行方は
10月25日、今年の品川区の第三回定例議会が始まった。8月に突如開催された臨時会は内容に対しては、品川・生活者ネットワークとして異論があったが、議会の進行については現議長による議事進行のもと粛々と行われており、それを鑑みればもう今後は妙な波乱は起きないと思っていた。
ところが、前日の24日の議会運営委員会に突如「議会の正常化に関する決議」が提出された。議運の正副委員長会議にもかけられず、正真正銘突如の提出だったようだ。会派の中で議論したいという意見が出されて、議会運営委員会はいったん休憩。
再開された議会運営委員会では、共産党から「この決議文の前半は『松澤議長の辞任を求める決議』が可決されたにもかかわらず未だ辞任に至っていないことを非難する内容となっており、辞任を求める理由が不当であることから決議に反対する」旨の発言があった。しかし決議文の提出自体は提出に必要とされる人数の要件を満たして且つ「本会議の前日までに提出」されており、手続的には問題が無いということで本会議にかけられることになった。
品川・生活者ネットワークとしてもこの決議にどのような態度で臨むかについて話し合った。ネットは議長に辞任の是非については何も考えを表明していない。そもそも「議長を他会派に推薦した当該会派」の内部で解決すべき意見の齟齬について「議会に持ち込むことで解決を図ろうとする決議」に反対してきた。しかし、今回の決議は「議会の正常化」だ。
「議会を異常化」した当事者が出してくることに強い違和感はあるが正常化は望むところであり、議長と自民党会派へ申し入れもしている。決議文の中に「今定例会以降の会議については、現議長のもとで」役割を果たしていく旨が明記されてもいる。
とは言え、議員が議会に定刻に参集して正常に議会が進行している中に改めて「議会の正常化」を決議するのはどうなのだろう…。
そこで、その疑問を率直に本会議で質問することにした。議会運営委員会に席を持たない品川・生活者ネットワークは他に質問の機会が無く、質問もしないまま態度の表明は出来ないとも考えた。品川区議会で定められた手続きに則って議会事務局に通告を行い、25日の本会議に臨んだ。
本会議で、決議文提出者から決議文の朗読を以て説明が行われ、その後質問をした。質問の趣旨は「第二回定例議会が正常に進行しなくなった要因は『本会議の定刻に議員が議場に参集しなかった』ことにあり、現在は議員は定刻に議場に参集して議会は正常に運営されている。正常に進行している中で改めて『正常化を決議として提案することの意味』は何か?」というもの。
それに対する答えは「8月の臨時会で可決された『現議長の辞任を求める決議』では第三回定例議会の前日、すなわち昨日までに辞任することを求めている。しかるに議長は未だ辞任しておらず、そのため本日の決議提出に至った」という趣旨だった。一瞬よく理解できなかったのだが、要するに「辞任要求の決議の通りになっていない以上、本来現議長の進行は拒否したいところだが、それをしないためには新たな決議が必要だった」ということと理解した。
そのように理解すると、これまでこの一連の混乱の中で品川・生活者ネットワークが一貫してきた「この問題は議会に持ち込まず、当該会派と議長の間で解決すべき」という主張とは矛盾する趣旨の決議ということになる。議場に定刻に参集して議会の正常な運営の一翼を担うのは議員としてあまりにも当然のことであるにもかかわらず、改めて議会の決議という形を取ろうとしたことについては納得しがたい。振り上げたこぶしを下ろそうして下ろしどころを新たな決議に求めたということか?
「議会の正常化」は望むところだが決議に拠るべきものではないと判断して反対した。(よしだ・ゆみこ)