障害者差別解消法施行から2年半~聴覚障がい者への配慮は?
先日、聴覚障がい者の方たちと意見交換の機会を得た。品川区に対しての様々なご要望を伺い、ご要望の中味についても具体的な意見交換をさせていただいた。
改めて痛感したことは、障害者差別解消法の施行から2年半が過ぎた現在でも差別の解消はほとんどできていないことだ。そして、聴覚障がい者の場合それを主張すること自体が難しいというハンディがあることである。ご要望は具体的には様々あるが、基本的には「様々な場面で手話通訳者を配置してほしい。自分たちも手話通訳者を使いやすくしてほしい」ということに集約できると思う。
品川区の場合、区役所の窓口に手話通訳者が配置されるのは毎週金曜日の午前9時~12時と水曜日の午後1時~4時だけだ。実質的には1日間だけである。障害者差別解消法施行前と後、変わらずにこれだけだ。区民は誰でも区役所の開庁時間中、いつでも好きな時に来て様々な手続きや相談ができるはず。業務は限定的であるが日曜開庁もされるようになった。
もちろん、高齢や身体の障がいで区役所に行ったり、手続きをするのにサポートが必要な人は他にもあり、解決すべき課題はそれぞれ多い。しかし、「この日以外は来てもコミュニケーションが取れません」という制約がいまだに堂々とまかり通っているのはいかがなものか。筆談という方法はあるが、定番の手続きならともかく、少し込み入った内容を文章に表わすのは結構骨が折れるものだ。しかも、障害者福祉課の窓口に行っても手話通訳者が配置されている曜日や時間の明示もない。品川区に引っ越してこられた聴覚障がいの方はどうやってそのことを知るのか?
一気に解決するのは難しくても、聴覚障がい者への差別を解消するために、区は先ず障害者福祉課に手話通訳者が配置される曜日と時間を明示するべきだ。そして、通訳者配置の曜日を少しずつでも増やしてく必要がある。そのためには手話通訳者の養成にも力を入れるべきと提案していきたい。
さて、9月30日には区長選と区議会議員選挙の投票日を迎える。選挙の投票場には聴覚障がい者への配慮として、コミュニケーションボードが準備されているという報告が私が所属する総務委員会で報告された。冒頭に掲載している写真がそれだ。裏面にはコミュニケーションボードの目的や使い方が書かれている。その中に掲示場所として「ニーズがある人がすぐに気付くよう、受付の机上や受付近くの壁に提示してください。」とある。9月18日発行の広報品川臨時号「選挙特集号」にもコミュケーションボードについての記載がある。
投票に行ったときには、本当にニーズがある人が気づきやすい場所に提示されているかどうか確認してこなければ、と考えている。この記事をお読みの皆さんもよかったら、投票のついでに確認していただければ、と思う。また、ボードの大きさはA4サイズなのだが、大きさについてはどのようにお感じになるだろうか。私から見るともう少し大きい方が使い勝手も良いと思うのだが?生活者ネットワークとしては、おおぜいに呼びかけて確認して聴覚障がいの方たちにとってより良いコミュニケーションツールとなるように提案していくつもりだ。
この記事をお読みの方も、投票のついでにちょっとだけ気にしてみてください。そして、もしお気づきの点があればぜひ生活者ネットワークにご一報ください。ご意見はこちらへ