障害者差別解消法施行から4年。区庁舎の情報バリアフリーは進んだか?~第3回定例議会報告 総括質疑から~

品川区役所内 税務課の窓口に配備されているタブレット端末を手にする吉田ゆみこ。左は田中さやか。このタブレットには13の言語に対応できる通訳機能と手話通訳の機能が搭載されている。色々な国の方たちと聴覚障がい者の方たちにとって有効なツールとするためにはまずは表示が必要!手話通訳機能があるという表示と共に、せめて英語で多言語通訳機能があるという表示があってしかるべき。

障害者差別解消法施行から4年経った。これまでにも障害者差別解消を実現する施策を求めて様々な機会に質問をしてきたが、今回は決算特別委員会の総括質疑で品川区庁舎内の情報のバリアフリー化について取り上げた。

品川区には「品川区差別解消法職員ハンドブック」がある。障害者福祉課による編集で各所管にデータで配信されており、新人職員の研修などで活用し、情報共有を図っているという。しかし問題はその内容がどれくらい実行されているかだ。そこでハンドブックに記載の「統一ルール」がどれくらい実行されているかを点検する視点で、視覚障がい者と聴覚障がい者への情報保障について質問した。

◆ホームページ上の文書について
ホームページへ掲載する文書は視覚障がい者のために「音声対応可能なテキストファイル等を掲載すること」が統一ルールとして定められている。ところが未だPDFファイルだけの掲載事例もかなり多い。ルールに適合していないと指摘したが、一気にすべてテキストファイルにするのは難しいとのこと。しかし、なぜ難しいのかについて明確な根拠は示されないままだ。

◆タブレット端末の活用について
品川区庁舎内への手話通訳者の配置は現在、水曜日の午後1時∼4時と金曜日の午前9時~正午のみだ。品川・生活者ネットワークは、もっと増やすよう求めており、品川区聴覚障害者福祉協会も毎年区へ要望しているが、なかなか実現しない。
しかし、それを補完するための施策として、タブレット端末が用意されていることが統一ルールに示されている。タブレット端末のビデオ通話機能を利用して、画面上の手話訳者を介して来庁者と職員が会話をするためだ。ところが、役所の窓口に行っても職員がタブレットの存在を認識しておらず、意思疎通が難しかったというご意見が聴覚障がいの方から届いている。
そこで具体的にどこに配置されているのかを質問したが、福祉部と企画部で答弁が違っていて、結局どういう基準で配置されているか不明瞭なままで終わってしまった。後日改めて確認したところ、13の地域センターや、区民が多数訪れる所管窓口などに合計50台配置されているとのことだった。ところがその旨が当の窓口に表示されていないのだ。
サービスはその存在がわからなければ利用できない。使いたい当事者が一目でこのサービスの存在が分かるよう表示を求めた。

◆区民向け説明会等での情報保障について
区民向けの説明会への手話通訳者と要約筆記者の派遣についても統一ルールに定められている。しかし、これまで私が参加した再開発計画や公園の改修工事などの説明会に、手話通訳者や要約筆記者がいたことはない。また、視覚障がい者に向けてパワーポイントで示されている資料内容の説明もなかった。街づくりをする上では障がい者の意見は重要だ。今後は適切な情報保障を求めた。
また、現行のルールでは「手話通訳や要約筆記が必要な場合は手続きする」となっている。これは障害者差別解消の趣旨に反している。今後はルール自体も聴覚障がい者と視覚障がい者への情報保障を原則とすることを求めた。

◆障害者差別は人権問題
10月27日に行われた地域自立支援協議会を傍聴したところ、会議の中で複数の委員から、役所の窓口では未だに障害者への差別的態度が見られるという指摘があった。今回の質疑では具体的な答弁を引き出すために情報保障を事例にして取り上げた。しかし今後、具体的な施策を改善していくとともに、品川区の障がい者への人権意識の問題として改めて問いただしていく必要があると考えている。(よしだ・ゆみこ)