「原発をとめた裁判長」上映会に行ってきました


3.11東日本大震災により起きた東京電力福島第一原子力発電所の
事故。あれから13年経ちましたが、原発事故は未だ終息していません。それどころか終息に向けた作業への着手さえ覚束ない状況です。

それなのに、東京では事故への関心は薄れるばかりです。私たち東京都で暮らす者は、あの事故を起こした原発が生み出していたのは「東京で暮らす人たちのための電気だった」ということ、それなのにその事故の被害を東北の人たちに負わせてしまったという事実を忘れてはいけません。

市民団体「さよなら原発品川アクション」は、事故の記憶を風化させず、脱原発を目指して粘り強く活動を続けており、私はその姿勢と行動に強く共感をしています。9月21日(土)にはその「さよなら原発しながわアクション」が自主上映会『原発をとめた裁判長~そして原発をとめる農家たち~』を企画開催。私もとても見たかった映画なので、良い機会と思い参加しました。

福井地裁・元裁判長の樋口英明さんは現役時代、2014年5月に大飯原発、2015年4月には高浜原発の運転差し止めの決定を下しました。日本のすべての原発に共通する危険性を伝えるべく、現在は各地で原発を止めるための活動をおこなっているそうです。
映画では、樋口さんと河合弘之弁護士の対談や、被災地での農業復活を遂げた農家、ソーラーシェアリングを始めた人たちなど紹介されました。
東電福島第一原発事故で被災した農業者たちが、これまで過ごしてきた暮らしや営みを、事故後あきらめるのではなく逆に「希望」にと立ち上がり奮闘する姿にとても感銘を受けました。

上映後は、樋口さんご本人からいただいたメッセージが読み上げられました。
このメッセージは上映会主催者からお願いしたものではなく、樋口さんが色々検索をされて、上映会企画の情報を得て樋口さんの方から「メッセージを送りたいのでどこに送ったら良いか知らせてほしい」とご連絡があり、送られてきたものだそうです。

メッセージは「福島原発事故を経験し、原発の本当の危険性を知った私たちの責任は極めて重いものがあります。私たちの後に続く人々のために、自然界からの警告に真摯に耳を傾ける必要があると思います。」という言葉で結ばれています。心に響くメッセージの中でも、この一文が私の心に鋭く突き刺さりました。(よしだ・ゆみこ)