議会を変える-定数や報酬だけを切り離して議論するのはナンセンス!
議会改革に必要なのは、「議員間討議」「市民の参加」「公開と説明責任」
生活者ネットワークの設立趣意、その大きな柱の一つに「議会改革」があります。市民の参加と自治が保障され、市民の意思が決定の場である議会に反映され、政策が決定・施行される、そういう市民自治体であることが「多世代が、共に生きる社会」をつくるために不可欠だから。
そのための改革目標として、私たちは「議員間討議」「市民の参加」「公開と説明責任」の必要性をひろく市民にうったえ、目標に賛同する議員を広げていくことで現実的に一つずつ議会を変えていこうと考え活動してきました(「変えなきゃ!議会2007キャンペーン」:2007年1月~2010年4月。「市民と議員の条例づくり交流会議」(2008年~継続開催)の実行委員会団体に参画)。
もっとも駅頭遊説でこうした政策をお伝えすることは至難です。ですが、私が区政にチャレンジするモチベーションでもあることから、折々に「自治体の議会のあり方」について語らせていただいてきました。
一般に「議会改革」というと、「議員の数が多すぎる。減らしていくべき」「報酬を減らすべき」という論調になりがちです。現に、まちを歩いて皆さんのご意見を伺うと、そうした声も多く聞かれます。しかし、定数削減が議会を改革することにつながるかは疑問です。特に、市民にもっとも身近な政策を決定する自治体議会が定数削減だけを進めるとしたら……。それでは大きな会派、力を持った国政政党に連なる人ばかりが当選しやすくなり、投票権を持たない子どもたちや弱い立場の人、地域で生活する普通の人の代弁者はますます登場しにくくなってしまいます。今にも増して偏った議会になってしまう恐れがあるのです。まちでご意見を伺った時にも、そのように私の考えを伝え、その方は「なるほど。それもそうね」と言ってくださいました。
報酬はどうでしょうか。きちんとした議員活動を行うための調査活動や、政策法務を学ぶためには適正な報酬は必要であり、民意をきちんと反映するための議会活動、政治活動には一定のお金も必要ですが、なかなか駅頭集会や遊説活動で、議会改革をコンパクトに訴えるようにはまとめかねていました。
そんな時、山梨学院大学教授の江藤俊昭さんから「住民自治の根幹としての議会」をテーマとしたお話を聞く機会がありました。まさに、私が訴えたいけれどまとめきれないでいて悶々としていたこと。この重要なテーマにズバリお答えをいただいたように思いました。
「――そもそも地方自治は地域住民が参加するということが前提となっている。地方議会は住民に開かれ、住民参加を促していくことが役割であり、地域民主主義の根幹である。議会改革はそういう視点で考えるべきであり、議員の定数や報酬もその中で議論されるべき。定数や報酬も地域民主主義の問題として捉えなければならない――」
というお話を聞き、今まで言葉を選びあぐねていた私は大きな示唆をいただいた気がしました。つまり、「定数や報酬だけを切り離して議論するのはナンセンスだ!」ということです。他にも色々、今後自治体議会のあり方を考えていく時に念頭に置くべきポイントを示唆していただきよき学習の場となったのですが……。
「――そんなに急には変えられない。長老・中堅が動かないと…。でも、住民に近い自治体の議員には多様な人がいるので、少数派であっても住民にとって必要なことは広がる可能性がある。あくまで最初に議員になった時の『これって変だ!』が大事。この感覚を忘れてはいけない――」
とも。なるほど「普通の、このまちに暮らす市民の感覚、これって変だ」があって初めて議員間討議が始まり、議会が地域民主主義の発現の場となるのだとあらためて確認した次第です。<よしだ・ゆみこ>