品川・生活者ネットワーク 新年集会を開催しました!

世界で進むメガ経済協定の本質をわかりやすく説き、警鐘を鳴らす大江さん。わかりやすく熱のこもったお話しに参加者は熱心に聴き入りました。

世界で進むメガ経済協定の本質をわかりやすく説き、警鐘を鳴らす大江さん。わかりやすく熱のこもったお話しに参加者は熱心に聴き入りました。

1月28日にきゅりあん第二講習室で品川・生活者ネットワークの新年集会を開催した。第一部は大江正章さん(アジア太平洋資料センター共同代表)に「まだまだ続くTPP/FTA問題~どうなる食の安全と私たちの暮らし」と題してお話をお願いした。TPPや、アメリカとEUで進められているTTIPなどの経済連携協定は、「自由」貿易を謳っていながら実は特定の、その時点で経済効率に勝っているものの「保護」貿易であると喝破する世界の経済学者の諸説が紹介され、現在新自由主義のもと世界中に広がる格差を示すデータが示された。

私がまだ学生だった40年前、所謂「独禁法」(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の講義を聴いていて、「独占」を禁止する法なのか「競争」を禁止している法なのか混乱したことがあった。「結局、独占は過当な競争の結果によって生まれるのであり、だから過度な競争を禁止する法が存在するのだ」と納得したことも思い出す。未熟な若い頭での理解だったが、あの時の素朴な理解が基本的には正しかったと今更のことながら思う。世界経済においても、適正な競争のためには一定のルールが必要ということだろう。

講演は、では私たちはどういう方向に進むべきか?と続いた。「自由貿易か保護貿易か」を選択するのではなく、環境や人権を守り貧困・格差を是正する「公正な貿易」を目指すべきと提起された。そして、貧困・格差を是正する貿易のために①環境的価値②人間的価値③健康的価値④発展的価値の4つの価値を尊重することをルールとして定めるべきだと指摘された。「国益」よりも大切なのは地球と地球市民の利益=「球益」であるとして、いま日本が目指すべきなのはTPPやFTAではなく、「東アジア公正貿易」だという結論をその場に参加していた皆で共有することができた。

そして、食糧主権を確立すること―すべての国の人々が自国にとって適切と考えられるレベルの食料と栄養源を自給する権利を保障されることが球益に配慮した安全な暮らしに結びつくのだという考えが示された。私たち一人一人の生活者が適正な負担をしながらできるだけ身近な農業を持続可能なものにしていくことが、結局のところ自分たちの食糧主権を守る事につながり、球益につながっていくのだということが確認できた。第二部は、参加してくださった団体の中から11団体に活動アピールをしていただき、歓談の時間とした。短い時間だったが、お互いに名刺交換をしたりチラシを交換して情報共有し、にぎやかな時間を過ごした。

TPPというと、「農業の問題」として自分たちとは関係がないと思っている人たちも多い。参加者の反応はどうだろうかと少し心配したが、「普段知る事が出来ないことについてお話を聴けて良かった」という反応が多かった。一見遠く感じる国政問題が実は「地域での生活者の暮らし」に密着しているのだ。今年も生活者ネットワークは、地域に活動の根を張りつつ国政についても発信を続けていきたい。