品川区にケアラー支援条例を!!

2020年1月14日には「介護保険の後退を絶対に許さない!1.14院内集会」が開かれ、参加した。今回要介護1、2を介護保険制度から外そうという動きは一応止めることができたが、世論の動向を見ながら必ず再度出てくるにちがいない。そうさせないためには「介護保険の後退は許さない!」という強い世論が必要だという認識を会場全体で共有できた。ケアラー支援のためにも介護保険制度の立て直しは必須だ。杉並・生活者ネットワークの曽根文子(右側)と一緒に参加。

品川・生活者ネットワークは、高齢者や障がい者など支援を必要としている方たちへの支援を考えるときには、介護や支援をしている方たち(ケアー者)への支援も共に考える必要があると主張している。よく言われる老々介護やダブルケアー、介護離職に限らず、福祉制度の不十分さから自分自身も疲弊しているケアー者の実情が見えてきたからだ。
 昨年、12月7日に実施された「ケアラー支援フォーラム2019『いよいよ始まる!!ケアラー支援条例』」というフォーラムに参加した。

 現在埼玉県では全国初となる(仮称)ケアラー支援条例が検討されている。2020年の第2回定例議会に議員提案での上程を目指しており、現在プロジェクトチームで議論が進められている。この日のフォーラムでこの条例案についての報告があった。
 埼玉県の場合、ケアラー支援に関わる部署は6部7課にわたるとのことで、条例案の具体的な議論に入る前に各部署への説明を行ったとのことだ。ダブルケアラーやヤングケアラー支援のためには多部署が関わる必要がある、というのがケアラー支援の特徴の1つだ。また、本条例案で考えられている支援の流れは①ケアラーの顕在化②その上でそれぞれのケアラーの課題発見③そして各種支援制度につなげる、というもの。ケアラーの置かれている状況は実は顕在化しておらず、本人も支援を求める余裕がない実態がある。支援のためにはまずはケアラーの状況の把握から始めなければならない、というのもこの問題の大きな特徴だ。
 生活者ネットワークとしては、この間ヤングケアラーの問題を取り上げ、その実態把握と支援の必要性を訴えてきたが、埼玉県の条例骨子案はケアラー全体を網羅した支援策としている。今後条例本文中の「ケアラーの定義」をどうするのか、などの議論が行われてその中でヤングケアラーなどをどのように盛り込むかを検討していくとのことだった。
 報告後のグループ討議で、私が参加したグループは6人中3人がケアラー当事者だった。それもダブルどころかトリプルケアーの方もおられた。障がい児を育てる中でご自身も鬱を発症。それなのに精神疾患のお姉さまのケアーも求められて切羽詰まっているという方もおられ、ヤングケアラーに限らずケアラー全体への支援策の実現は待ったなしの急務であると改めて実感した。

 品川区では第7期品川区介護保険事業計画「いきいき計画21」に介護者支援の視点はあるものの、要介護高齢者への介護、それも介護者は成人であることが前提と読み取れる。生活者ネットワークは6月一般質問でもヤングケアラー支援のため、まずは実状の顕在化が必要であるとして実態調査を福祉部と教育委員会に求めたが、答弁は福祉部からのみ、しかも再質問で追及するまでは大変消極的な答弁だった。ヤングケアラーの場合、支援には福祉部と子ども未来部の連携が欠かせず、それ以前の実態把握には教育委員会の協力も必須だ。残念ながら品川区では多部署が関わるという視点もケアラーを顕在化させるという視点も薄いことが判明した。埼玉県のケアラー支援条例の議論の行方に注視しつつ、品川区でもまずは実態把握を提案していく