国に「柔軟仕上げ剤などに含まれる香料の成分表示等を求める要望書」を提出しました。
7月30日に東京・生活者ネットワークは「柔軟仕上げ剤などに含まれる香料の成分表示等を求める要望書(全文はこちら)」を提出する活動を実施し、品川ネットも参加したのでご報告する。場所は衆議院会館第一で、提出先は内閣総理大臣並びに経産省、厚労省、環境省、消費者庁。公立学校で香害について行ったアンケート結果も提出したので文科省も提出先とした。
私は東京ネットの環境部会メンバーとして活動しており、要望を出すに至った経緯や東京ネットとしての問題意識の報告を行なった。
要望項目は①柔軟仕上げ剤、消臭剤を「家庭用品品質表示法」の指定品目とすること、②香料の成分表示を義務付けること、の2点。要望書を提出後、質疑を行った。なかなかかみ合った議論にはならず、その中で柔軟剤業界の中で大手2社が自主表示に踏み出したことが報告された。市民の声の大きさに押され、それに応えたという点では評価できるかもしれないが、問題は表示の中身だ。インターネットで具体的な製品にアクセスし、「香料成分情報」をクリックすると香料の成分が出てくるが、何とそれが日本語ではない!どうやらEUで義務付けられている「アレルゲンであることが明白な26種類の成分」の表示を日本の製品に援用したものらしく、その場に参加していた消費者庁の担当者もどういう内容の表示か説明できない有様だ。にもかかわらず経済産業省や消費者庁が、「自主開示で対策がすすんだ」と評価する姿勢は、納得できない。表示を活用する権利を持つ消費者にとっては不十分な表示であることは明らかだ。
また、「柔軟仕上げ剤、消臭剤を家庭用品品質表示法の指定品目とすること」という要望については消費者庁から「同法の立法趣旨は消費者が製品の品質を誤って認識して購入利用した結果、不測の被害が出ないよう事業者に表示を行うよう要請するものなので、購入した人に被害が出ているとは言えない柔軟剤を指定品目にするのはふさわしくない」という趣旨の説明があった。
この説明も納得しがたい。本来「柔軟仕上げ」効果には「香り」は関係がない。ところが近年「柔軟仕上げ剤」なのに香りの効果をコマーシャルで喧伝する事例がある。また消費者の方も香りを求めて必要以上に使ってしまう事例が問題になっている。「これはまさに柔軟仕上げ剤としては誤った利用として同法の対象になるのでは?」と指摘したが、残念ながら答弁は得られないままここで時間切れ終了となった。
消費者庁も厚生労働省も経済産業省も、香料によって苦しんでいる人がいる現状は認識しているとのことだった。
そもそも、生活者ネットとして要望を出すに至ったのは、香害の被害を訴えるためには科学的知見に基づく根拠が必要といわれ、消費者がそれを主張するには成分表示を手掛かりにするしかないからだ。被害を主張するための根拠の成分表示も事業者の都合に合わせ、家庭用品品質表示法の立法趣旨も狭く解釈するのでは、他人がまき散らす香りの被害者になってしまった消費者はどうやって自分の身を守るのか?
これからも生活者ネットワークとしては香害の被害をなくす第一歩として「消費者が活用できる分かりやすい表示」を訴えていこうと考えている。(よしだ・ゆみこ)