2021年 品川区議会第1回定例会報告~その1

3月23日 最終本会議で第29号議案 指定管理者の指定について に反対の立場で討論に立つ吉田ゆみこ。

2月17日に始まった今年の品川区第1回定例議会は、3月23日に最終本会議を最後に終了した。
本日はその全体のご報告をする。
今議会に上程されたのは、条例議案17件、契約議案3件、事件議案1件、予算議案9件(内 2021年度 最終補正予算案4件)。

品川・生活者ネットワークは、以下の4議案に反対し、その他については賛成した。

条例議案
第11号議案 品川区職員定数条例の一部を改正する条例
第30号議案 品川区国民健康保険条例の一部を改正する条例

事件議案
第29号議案 指定管理者の指定について

予算議案
令和3年度品川区国民健康保険事業会計予算

各反対理由を簡単にご報告する。
第11号議案 品川区職員定数条例の一部を改正する条例
現在の区役所の状況は、例えば障がい者福祉については区の窓口に行ってもなかなか対応してもらえないなどの不満の声が聞こえてくる。生活福祉では、生活保護のケースワーカー1人が担当している人数は国の基準をオーバーしており、きめ細かな対応ができていない。保健所の保健師については新型コロナウイルス感染症が蔓延する以前から不足が指摘されており、現時点ではさらに深刻化している。また、学校の教員の負担の大きさは予てより指摘されているところだが、感染予防対策は教員の負担増につながっている。
区民福祉の向上のために、適切な人数の確保はされるべきであり、現時点ではそれができていないと判断し反対した。

第30号議案 品川区国民健康保険条例の一部を改正する条例
本条例案は、それまでの国民健康保険制度が抱える矛盾点をそのまま認めることを前提とした2018年度改定の「品川区国民健康保険条例」が前提になっている。一部、新型コロナウイルス感染症への対応として激変緩和措置に配慮がされたことは評価できるが、根本的な解決にはなっていない。現在の制度は皆保険制度の必要性とその維持をうたっている。しかし、相次ぐ保険料の値上げは結局保険料が払えず、無保険者とならざるを得ない人たちを増やし続けているのが現状だ。従って本条例案には反対した。

第29号議案 指定管理者の指定について
本議案は障がい児者総合支援施設の指定管理者について現在の指定管理事業者を変更するというものだ。これまで区は福祉施設の安定的運営を何よりも大切にし、そのために同じ事業者に事業を継続させる方針をとってきた。今回、区が自ら主張してきた方針を転換した形となる。
しかも、同施設の利用者が現指定管理事業者へよせる信頼と評価は大変高く、現事業者の継続を望む声は多数寄せられている。
利用者から信頼されている事業者を、方針を大きく変えてまで交代させる以上、なぜ今までの事業者では不適切なのか理由が明確に示されるべきだ。
変更する明確な理由がないままの変更は納得できず、従って反対した。

令和3年度品川区国民健康保険事業会計予算
国民健康保険事業会計については、2018年度改定の「品川区国民健康保険条例」と今議会に上程された「第30号議案品川区国民健康保険条例の一部を改正する条例」を前提としているため反対した。

「第29号議案 指定管理者の指定について」に対しては、最終本会議で反対討論を行った。
討論本文は以下の通り。

品川・生活者ネットワークを代表して、「議案第29号 指定管理者の指定について」 に反対の立場で討論をします。

本議案は品川区立障害児者総合支援施設の指定管理者について改めて公募を行い、現事業者とは別の事業者を選定するというものです。
品川区はこれまで福祉施設の運営については事業の継続性・安定性を重要視するとして、同じ事業者の運営を任せてきました。この度、この方針を大きく転換したことになります。
ところが、この方針転換の根拠が明確に示されておらず、厚生委員会での審議でもひたすら公平公正に選んだというばかりでその客観的根拠が示されていません。

まず適格性の評価の客観性についてです。厚生委員会の議事録を読む限り、選定された事業者の優位点は示されていますが、それに比べて現事業者がどのように劣っているのかは具体的に示されていません。今までの方針を変えての事業者変更は、現在の事業を利用している方たちとその保護者の高い評価をも覆すようなマイナス面があったということを意味することになります。
しかも、通例5年である指定管理期間を3年にしての次の指定管理者の指定です。現事業者の事業成果が充分評価されたのか気になるところです。
区は選定されなかった事業者について選定されなかった理由を言うことがその法人にとっての不利益な情報になる可能性があるので答えられない、としていますが今回は区としての方針を大きく変える事例であり、具体的に示されるべきです。

外部委員も公表されるべきです。どういう立場の外部委員を選定したかは、区の選考に対する公正公平の姿勢を判断するうえでの判断基準の一つになります。区は、かつて一部区民が外部委員に審査・選定に関して直接働きかけをしたことを理由に公表できないとしています。選定委員への接触は禁止事項であり、確かに選考前の公表についてはそれを防ぐ意味でも控えるということは理解できます。しかし、選定後であれば公表されてしかるべきです。

予算委員会の意見表明でも指摘しましたが、品川区はかつて区内の障害者福祉施設で職員による利用者への虐待事件を起こした事業者にも区の施設の指定管理事業を条件付きではありますが継続させました。
この事例は複数の職員が障がい者へ言葉による虐待を行っていた、と、それだけでも大問題ですが、その上事業者から区への報告が遅れ、区が調査に入った時にはすでに当該職員を依願退職扱いで退職させていたという、後の処分についても大きな問題を残した事例でした。区立施設での事件ではないものの、この処分については区として「遺憾である」としたという表明がありました。
大きな課題を残した法人についても区は事業の継続による安定性を重視して、指定管理者として継続させています。今回、継続が困難ということであればこの事例以上に継続困難な客観的根拠が明確に示されるべきです。

生活者ネットワークにはぐるっぽの仲間たちの声や、障がい者団体の方たちの声のほかに、個別に「本当に事業者は変わってしまうのか?」というお問い合わせがありました。「相談事業についてもようやく相談らしい相談をしてもらえるようになったのに、元に戻ってしまうのか?」という嘆きの声が届きました。

一方で、「利用できている人はいいけれど、なかなか利用できない」という声が聞こえてくるのも事実です。指定管理の協定で定められた予算の範囲でおこなう、丁寧な時間をかけた相談や、手厚い職員の配置によるサービスは、多くの利用者にサービスを提供するという点では難しいのが現実です。

しかし、それは品川区の障がい者福祉の貧困に起因するものであり、区がもっと多くの施設を作り、現事業者と同様に評価が高い事業者に運営を任せることによって解決すべきであり、解決可能です。責めは区が負うべきであり、限られた予算の中で丁寧な相談や手厚い人員配置を行ってきた事業者に責任を押し付けるべき問題ではありません。

区がこれまで掲げてきた「福祉事業については継続による安定を重視する」という方針を転換するだけの客観的な根拠が示されない今回の指定管理者の指定については反対すべきということを改めて区議会の皆さんに呼びかけて、品川・生活者ネットワークの討論とします。  (よしだ・ゆみこ)