コロナ禍中の子どもたちへ、支援の眼差しと手を!~品川区第2回定例議会報告 その3~

認定NPO法人 ひと・まち社による「子どもの自立と支援に関する調査」が終了し、報告書が完成した。その報告集会が5月14日にオンラインで開かれ、調査に参加したメンバーとして田中さやかと吉田ゆみこも参加した。

新型コロナウイルス感染症は、もともと困難な生活を送っている人たちにとってより大きな打撃となったのは間違いがない事実だ。特に子どもたちの暮らしが心配だ。
 2013年、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることなく、健やかに育成される環境の整備と教育の機会均等等を総合的に推進するために、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立した。しかし、現状は子どもの7人に1人が相対的貧困であると言われている。家庭の枠の中にある子どもの生活実態は見えにくく、貧困の状況把握は難しい。
 そこで、少しでも実態に近づくため、コロナ禍が貧困と言われる子どもたちへ与えた影響について、NPOひと・まち社が行った調査活動に品川ネットも参加した。調査方法は、各地域で子ども食堂や子育て支援、ひとり親支援の活動を継続している団体からの聞き取りという形で実施。品川区の団体にもご協力をいただき、調査報告書は品川区にも提供した。
今回の質問では、調査で見えてきた課題をいくつか取り上げた。

困っていても相談にはいかない!
 調査では、暮らしの困難を抱えながらなかなか行政には相談に行かない実態が見えた。品川区には、区民の様々な課題に応じて各種相談窓口が用意されている。しかし、残念ながら細かく窓口が分かれていること自体が相談のハードルになっているという現実は認識する必要がある。自分が抱えている問題がどの窓口に相当するのか判断がつかない、または生活に追われていて「自分が相談に行くべき窓口は?」と考える余裕がないという現状があるのだ。
 相談内容を限定しない相談窓口をつくること、ホームページ、広報しながわ、品川ガイドの目立つ部分に「困ったときはこちらへ」のような案内の提示、また、同内容のポスターを作成して区の施設や公園のトイレなどに掲示することを求めた。
 答弁では「区民に分かりやすい窓口となるよう、名称やその役割について見直しをしている。周知方法も整理する」というものだったが、そもそも困難な人たちが区を相談先としてイメージできないという根本的な課題があるということを認識すべきだ。

相談窓口を補完、支援団体と行政の連携は必須!
 一方で、各支援団体が相談窓口を補完している事例も見えてきた。支援活動現場では、当事者から特に相談がなくても困難な状況を察せられる場合があり、それをしかるべき行政機関につなげて問題の解決につなげる事例もあるという。その際、行政や民生委員の方が支援団体の活動を知っている場合は連携がスムーズにいくそうだ。行政・民生委員等と支援団体との日常的なコミュニケーションが重要ということだ。幸い、品川区には子ども若者応援ネットワークがあり、毎月、子ども育成課と協議を行っている。一方、子ども食堂の活動については子ども食堂ネットワークがあり、その会議では活動から見えた困難事例などを共有し、対応も話し合って具体的支援につなげたという事例を伺うことができた。
 ところが、一般質問に向けた事前の聞き取りによると、この2つのネットワークが子どもの貧困解決をテーマとして協議することはないという。両方ともそれぞれ子ども・若者の支援活動を熱心に展開しているネットワークだ。
 今後は、この2つのネットワークがお互いの活動から見えてきた事例を共有し、区も一緒に支援を必要とする子ども・若者について、支援の提供や困難事例の解決に取り組むように求めた。
「(各種事業団体と)連携に努めている」というのだがもっと具体的事例にも踏み込んだ連携を求めていきたい。

「しながわ子ども食堂マップ」を必要な人たちへ!
 品川区には29カ所の子ども食堂がある。ところが、子ども食堂を本当に必要とする家庭にその情報が届いているのか?というもどかしい思いを抱いている子ども食堂運営者の声がある。個人情報である家庭の状況は、子ども食堂としては把握できない。しかし、区は必要と思われる世帯はわかるはず。区からしかるべき家庭へしながわ子ども食堂マップを提供することを求めた。
 必要とする方全ての特定は困難だが、しあわせ食卓事業の食品配送の際の情報提供や、区施設の窓口や商業店舗でのパンフレット配布など、周知に努めていると答弁。

先ずは実態調査を!
 以上、調査活動で見えてきたことに基づいて質問したが、有効な施策にはまずは品川区のこどもの貧困状況について調査する必要がある。質問の冒頭に「子どもの貧困状況は把握しにくい」と述べたが、2020年3月、内閣府は「子どもの貧困実態調査に関する調査研究報告書」をまとめ、各自治体に子どもの貧困に関する実態調査を促している。品川区がまだ実施していないなら調査すべきと主張した。そして品川区としては特に把握が難しい高校生の実態調査にも取り組むことを求めた。
 子どもの貧困実態について、区は2016年度に子どもの未来応援プロジェクト検討委員会を発足させて調査を実施したと答弁。そして調査の必要性は今後検討という。しかし、コロナ禍前と後では深刻度が違う。ぜひ早急に調査に取り組み必要な施策を洗い出すことをこれからも求めていきたい。(よしだ・ゆみこ)