品川区の子ども・若者施策は?東京都こども基本条例をふまえて~第2回定例議会報告 その4
本年3月の東京都議会第1回定例会で、東京都こども基本条例が全会一致で成立した。生活者ネットワークは、1989年に子どもの権利条約が国連で採択されて以来、30年にわたり子どもの権利の重要性を政策の中で掲げ、地域での活動や議会での政策提案を続けており、今回の条例制定は大変喜ばしく思っている。
品川区も、児童相談所設置方針の視点には、2016年の改正児童福祉法の基本理念を受けて「子どもの最善の利益と権利擁護に資するよう」と表記しており、こどもの権利擁護についての認識が深まっていることを評価している。
それらの状況を踏まえた現状の施策はどうか?点検する意味でいくつか質問をした。
子どもの権利の周知について
子どもの権利というと「学校教育の中で」という話になる。しかし、今回は敢えて「区の子ども若者施策としての子どもの権利の周知」を求めた。品川区の人権意識に関わる問題だ。教育委員会と区の子ども・若者施策との連携で、子どもの権利の冊子作成や大人と子どもが一緒に子どもの人権について考えられるセミナーの実施を提案した。
子どもの意見表明権について。
子どもが社会の一員として意見を表明でき、その意見が適切に受け止められることは、子どもの最善の利益と権利擁護のためには大変重要だ。そして学校や家庭以外に、子どもたちが自分の意見が言えて、大人がそれをきちんと受け止める場があることも重要な要素だ。生活者ネットワークは、子どもたちが安心して意見を言える第三者的な存在の必要性を主張し続けている。ふだん子どもたちの身近にいる家族や学校の先生とは違った立場で子どもの話をしっかり受け止め、子どもにとって一番よい解決方法を、子どもと一緒に考え、手助けする存在が必要なのだ。それがオンブズパーソンだ。改めて、品川区に子どもオンブズパーソン制度の設置を求め、メンバーとして子どもの人権に専門性を持つ弁護士や研究者を入れることを提案した。併せて、子どもの立場だけに立ち、子どもの意見を代弁するアドボケイトを制度化することも求めた。
子ども若者の居場所について
品川区では、児童センターやティーンズプラザ、子ども若者フリースペースが子ども・若者の居場所として確保されている。そこでの職員・スタッフが一定オンブズパーソン的な役割を果たしていることは承知しており、生活者ネットワークはその点を評価している。ところが2020年の最初の緊急事態宣言後、感染症拡大防止を理由に2021年6月20日まで児童センターは利用が乳幼児親子と小学生に限定され、中学生以上の利用はできなくなっていた。
乳幼児親子や小学生と同様に中高生にも居場所は必要なはず。子どもの成長過程で、特に中高生の時期には家族や先生以外の大人との関係性が必要であり、児童センターはそういう場になっていた。今回の質問通告後に1日1時間だけでも再開されたのは良かったが、感染予防の名目で中高生の居場所が全く保障されていなかったのは問題だ。
子どもの権利の周知については、男女共同参画事業の中で、教育部門とも連携して工夫する講座を運営していきたいとという答弁を得た。今後は具体的な講座について提案していきたい。
また、オンブズパーソンやアドボケイト制度については現在国が検討中とのこと。その動向を見るとのことだったが、ぜひ品川区としても具体的に踏み込んだ制度を検討してほしいものだ。
せっかく東京都に成立した「こども基本条例」、その理念がぜひ品川区の施策の中にいかされていくよう提案し続けていきたい。(よしだ・ゆみこ)