ゲノム編集トマトの苗の無償提供を受け取らないで!~第二回定例議会最終本会議で賛成討論をしました。

陳情活動に先立って、ゲノム編集食品の問題点について学習会を開催。学習会後、学習会を開催したメンバーが講師を囲んで。後列左から3人目が講師の八田純人さん。その左隣が東村山ネットの白石えつこ市議。講師の右隣が田中さやか、その右が吉田ゆみこ・

第二回定例議会の最終本会議では、ゲノム編集トマトの苗の無償提供を受け取らないことと、学校給食にもゲノム編集食品を使わないでほしいということを求める陳情に賛成討論をおこなった。
残念ながら賛成者少数で不採択という結果だった。
この陳情活動については、品川生活者ネットワークとして駅頭署名活動に協力するなど、共に活動を行ったが、そもそもゲノム編集食品のことがまだ周知されていないと実感した。
この陳情活動を「はじめの一歩」として、これからもゲノム編集食品の問題点などを繰り返し訴えていく必要がある。
討論の内容は以下の通りだ。ぜひ、皆さんからもご意見を伺いたい。

陳情34号 「ゲノム編集トマト苗の無償提供を受けないことと、学校給食からゲノム編集食品を排除することを求める陳情」に賛成の立場で討論します。

本陳情は、すでに開発が進んでいるゲノム編集食品のひとつである高ギャバトマトの苗の無償配布について、品川区は受け取らないでほしいということと、品川区の学校給食からは既存の遺伝子組み換え食品と同様にゲノム編集食品を排除してほしいと望むものです。本陳情の趣旨は、子どもたちが食べる給食は適正な質のものであって欲しい、また、環境中に遺伝子を人為的に改変したものを流出させてはならないという市民の当然の願いの表明です。

本陳情が付託された文教委員会において、理事者は「寄付の申し出については寄付の目的・意図など様々な情報をしっかり確認して判断する。ゲノム編集トマトであるという一点だけの情報で受け取るか否かの判断は適当でない」という趣旨の発言をされたと聞きました。しかし、陳情者は「ゲノム編集トマトの苗であるが故に受け取らないでほしい」と求めており、品川・生活者ネットワークはその願いに強く賛同します。

賛同する最大の理由は、国がゲノム編集食品の安全性審査を行わないまま流通を認めてしまったことにあります。

ゲノム編集食品の流通について関わっている国の省庁は、環境省、厚労省、農水省、消費者庁ですが、どの省庁においても議論は「ゲノム編集食品を流通させること」ありきで進み、安全性の審査は全くと言っていいほど行われていません。環境省はたった2回の検討会で報告書をまとめ、厚労省は4回、農水省は検討会を開かず省内で検討、消費者庁に至っては検討もせずに厚労省が流通のための指針を出すのに合わせて表示の仕方だけ発表。つまり、すべては流通を始めるという前提に立って、各省庁の結論を整えた、というだけのものです。安全性を確認するための実験や調査が行われた形跡は一切見られません。

市民がゲノム編集食品の流通が始まることに不安を覚えるのは当然のことです。

陳情でも言及されている通り、ゲノム編集作物・食品は遺伝子を人為的に操作した「遺伝子改変」作物・食品にほかなりません。

そして、子どもたちは遺伝子改変についての知識を一切与えられていません。苗の提供を受け入れれば、子どもたちはきっとそれを学校や家で育てるでしょう。実が生れば、何の判断材料も与えられていないまま、それを口にすることが想定されます。また、熟れすぎた実が地面に落ちることもあるかもしれません。それはすなわちゲノム編集作物が環境中に流出することに繋がります。

ゲノム編集トマトの苗を受け取ることは、安全性の審査も行われないまま流通が始まってしまったゲノム編集作物の遺伝子を環境中に流出させることに、品川区が加担することに繋がります。

決して受け取るべきではありません。

品川区教育委員会としては、事業者から働きかけがあった時点で検討するということです。陳情書にもある通り、事業者の計画では小学校への配布は2023年になっています。まだ働きかけのない現時点で、品川区議会としてこの陳情に賛同を示すことで、教育委員会に「受け取らないでほしい」と意思表示すべきです。

また、陳情では、学校給食について遺伝子組み換え食品と同様に排除することも求めています。

委員会では、「品川区の学校給食について、遺伝子組み換え食品は可能な限り避けるが、排除という考え方は取っていない」という理事者の発言があったと聞いています。そもそも日本の遺伝子組み換え食品の表示基準はヨーロッパに比べて大変甘く、5%未満の混入までは「遺伝子組み換えではない」という表示が認められているため完全な排除が難しいということは承知しています。ましてゲノム編集食品についてはその不完全な表示さえ義務付けられていないため、遺伝子組み換え食品以上に排除が難しいことはよくわかります。

しかし、食品が流通する過程では契約書を交わしたり、伝票を使ってやり取りをすることが一般的であり、学校給食食材も同様と考えます。本来、表示制度やトレースアビリティ制度を確立するのは国の責任であり、その責任を放棄している国に対しては強い憤りを感じますが、実はトレースアビリティ制度がなくても実際は食品の原材料がどこから調達されているかをたどることは可能であり、それをたどればゲノム編集食品か否かの「社会的検証」は充分可能です。食品の加工度が上がれば、原材料の流通をさかのぼることは困難になりますが、幸い品川区の学校給食においては出汁やスープも加工品を使わないことが明言されています。食品添加物も可能な限り避けるとされています。品川区の方針にもとづいた給食を続け、且つ食材の納入について信頼できる事業者から適正な手続きによる納入を続けるのであれば「社会的検証」によってゲノム編集食品を排除することは可能であると考えます。

陳情者が排除という強い言葉を使ったのは、品川区の、学校給食から遺伝子組み換え食品を可能な限り避けるとした姿勢を高く評価し、それと同等の扱いをゲノム編集食品についても求めているものと理解できます。区議会としても本陳情に賛同することで、現在の品川区の学校給食の遺伝子組み換え食品を可能な限り避けるという姿勢を評価し、ゲノム編集食品についても同様の態度をとることを求めるべきと考えます。

以上の理由により、陳情34号 「ゲノム編集トマト苗の無償提供を受けないことと、学校給食からゲノム編集食品を排除することを求める陳情」へ賛同することを改めて皆様に呼びかけて、品川・生活者ネットワークの討論といたします。