品川区は羽田増便計画に伴う「航路案」を了承していません!

8月9日に行われた国土交通省ヒアリングでは、7月28日の協議会において「関係自治体が航路変更案を了承」という報道について真意を質した。(写真は2016.5.30国土交通省への生活者ネットワークのヒアリング)

8月9日に行われた国土交通省ヒアリングでは、7月28日の協議会において「関係自治体が航路変更案を了承」という報道について真意を質した。(写真は2016.5.30国土交通省への生活者ネットワークのヒアリング)

私が一般質問で取り上げた、羽田増便計画に伴う品川区上空を飛行機が低空飛行をする件について、情報が錯綜しており、生活者ネットワークにもお問い合わせの声が届いています。現時点で生活者ネットワークとして把握している状況を整理してご報告します。

◆6月24日一般質問

これまで品川区は議会での質問に対し、都市環境部長は一貫して「国の問題であり、未だ案の段階なので、品川区として意見を言う立場にない」という答弁を繰り返してきました。ところが、6月24日に行った一般質問に対し、区長は「…これまで首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会に反映できるよう意見を述べてまいりました。また、羽田空港の機能強化に関する都および関係区市連絡会における幹事会の場や、国や都と個別に協議する場などで議会等での議論も踏まえ意見を述べてきたところであります」と答弁。これまでも、この問題に関する協議会や関係区市の連絡会があるのは承知していましたが、そこでの発言がなし崩し的に公式な「品川区としての意見」であるかのごとく扱われてしまうのであれば言語道断!許されざる事態です。また、都市環境部長がこれまで行ってきた答弁と明らかに矛盾するものであり、都市環境部にヒアリングを行いました。

◆7月25日都市環境部ヒアリング

これまでの都市環境部長の答弁と、6月24日の区長答弁は矛盾するのではないかという質問に対し、都市環境部としての答弁は「品川区としてはこれまでと何も変わっていない」とのこと。品川区は、「国交省が『夏ごろまでに出す』と言っている『環境に配慮した方策』を待っている状態。が出ないと品川区は賛成とも反対とも言えない」ということでした。そして、「区長が一般質問に対する答弁の中で述べている『意見』というのは、これまでにも答弁してきた、『もっと品川区民に対してきめ細かく、丁寧な説明をして欲しい』とか、早く『環境に配慮した方策を出してほしい』という第2フェーズまでの意見と同等のもの」という説明でした。

この時点で品川区としては増便計画に対して(すなわち品川上空を低空飛行する新ルート案にも)、所管は賛成も反対も意見は言っていないという言質を引き出し、確認しました。

◆7月28日新聞報道

25日のヒアリングから3日後のこの日、新聞各社が「関係自治体がこの計画案を了承した」と報道。あちらこちらから問い合わせの電話がありました。すぐに都市環境部に電話で確認したところ、「報道にある協議会には品川区は参加していない。また、この協議会の性格は何かを決定する性質のものではないと認識している」との応答内容でした。しかし、議事録を確認しないとはっきりしたことは言えません。議事録を取り寄せて、開示してほしい旨、強く要望しました。

◆8月5日都市環境部都市計画課ヒアリング

新聞やテレビの報道を受けて、都市計画課は区議会各議員に説明を行っているとのこと。生活者ネットワークとしても先日の問い合わせに対する応答と、併せて説明を受けました。報道にあった協議会の資料を示されての説明でした。

確認できたことは以下の通りです。

・国交省として、「増便計画(案)」の(案)はとれていない。

・品川区としては、協議会に出ておらず、増便計画に合意していない。

・品川区としては、この協議会の性質は何かを判断や決定するものではないと認識している。

とりあえず、品川区として、この航路(品川上空を低空飛行する新ルート)案に同意はしていないことは確認できました。

しかし、議事録は依然、都市環境部として確認しておらず、議事録を求めたメールに対して、以上のような会議の概要がメールで返信されてきたということです。ですが、議事録がないなどということは信じられませんし、あっては成らないことです。また、議事録を示さずに、区民生活における日々の安全に係わる問題を自治体に説明する国交省職員や、議事録も確認せずに地域主権や市民主権に係わる、かつセンシティブな事柄を、議員に平然と説明する区の職員の感覚が理解できません。会議についての認識が他の出席者と違う場合も考えられます。万が一、そのような、あってはならない齟齬が生じることはないでしょうか? あってはなりませんが、万一の場合、議事録もなしに議員に説明した事柄について責任をどうやって取るのでしょうか? 改めて議事録を求めるよう要請しました。

また、この協議会の資料として品川区が待っていた「環境に配慮した方策」が出されましたが、内容は漠然としており、品川区に関係するところも「おそらくこの部分であろう」と推察するしかありません。現在、「具体的に品川区にはどの部分が関係するのか?」を再度問い合わせている段階であり、品川区の意見はその内容を見てから考えていくということでした。

今回に限らず、間違った報道は本当に腹立たしいことです。マスコミ・メディアが前のめりに間違った報道をし、それによって既成事実化していってしまうことを厳に戒めねばはりませんし、警戒する必要あります。しかし、一方でテレビなどに採り上げられることによって初めて大変な事態だと気付く人も多く、「そういえば最近飛行機うるさいよね」という声も改めて聞きます。

「変だな、何でこんな時間にこんなところを飛行機が飛んでるの?」と思われた方、疑問はそのままにせず是非区役所に問い合わせてください。代表番号にかけていただき、「飛行機が区内を飛ぶ航路案について意見を言いたい」「飛行機の騒音について訊きたい」、または「羽田の問題で意見がある」などと伝えていただくと、都市環境部につながります。もしも、その時、区の対応が悪かったり、回答があいまいであったりなどの疑問点があれば、生活者ネットワークにご一報ください。

品川・生活者ネットワーク

TEL03-5751-7105 FAX03-5751-7106

Eメール:shinagawa@seikatsusha.net