2021年品川区議会第1回定例会報告 ~その3 新飛行経路固定化回避は机上の空論
ユナイテッド航空機の部品落下事故は、羽田新飛行経路への心配が杞憂ではないことを証明した。しかし品川区は、相変わらず「現在国土交通省が今の経路を固定化させないための方策を検討中」という理由で、国に対して積極的に反対する姿勢を示そうとはしない。一方、国土交通省は「使う滑走路は変えない」と明言し、検討会で滑走路への進入方法(飛行経路)を複数検討中としている。しかし、その飛行経路について正確な情報を出そうとはしない。区民に配られたチラシには複数の飛行経路案が示されているが、正確な地図上に描かれておらず、どれを選択すれば品川区上空を避けられるのかの判断はできない。
2月4日に、品川区議会の羽田議連のメンバーと共に、国会の羽田議連を通じて国土交通省に対し「固定化回避検討会」での議論の内容についてヒアリングを行ったがそこでも新飛行経路案について明確な答えは何も得られなかった。ひたすら「今検討中なので結果を見て欲しい」と繰り返すばかり。
このままでは延々と「検討中」を理由に現在の航路が「固定化」されてしまう。なし崩しの事実上の「固定化」を許すわけにはいかないと、予算特別委員会では「国に対して結論を出す期日を示すべき」と求めたが、「国が決めることに対して区が期日は決められない」と答弁。相変わらず「自治体として区民を守る」姿勢は見られなかった。
元JAL機長で航空評論家の杉江弘さんによれば、滑走路を変えない以上、滑走路直前に位置する品川区上空はどうしても通らざるを得ず、国交省の案は世界の航空界共通の運航ポリシーに反する危険極まりないものであると明言。4月9日に衆議院第一議員会館で行われた国会の羽田議連への国交省レクチャーにおいても、会場からの質問を代表して杉江さんがこの事実をつきつけたが、明確な反論はなかった。反論できなかったということが事実を明確に物語っている。
この事実に対して区としても国に対して区民の立場に立ってはっきりと物申すべきであり、これからもそれを追求していきたい。それと同時に来る都議選に向けて、また総選挙に向けてこの事実を広くアピールしていかなければならない。(よしだ・ゆみこ)