2021年品川区議会第1回定例会報告 その4~柔軟剤の「香害」はプラスチック問題

香害についてはこれまでもご報告しているが、予算特別委員会の教育費で給食着のことに関連して取り上げた。
香害は当事者にとっては切実だ。学校における香害でよく言われるのが給食着。給食当番が持ち回りで使うため洗濯をして次の人に回すことになっている。前の人が使う柔軟剤の香が被害者にとっては悩みの種だが、他の家庭の洗濯にとやかくは言えないものだ。
今回区内で「感染症拡大予防の観点で、自前の給食着利用を認める」事例が複数あることを把握した。香害に悩む人にとっては、本来は香成分という化学物質による被害を理解してほしいところだが、香りの押し付けから逃れられるのであれば理由はどうあれとりあえずは「朗報」であることは間違いない。
委員会での質疑によると、これは「学校独自の判断」だということだ。教育委員会に対して、校長会などで事例を共有して全体化を促すよう求めた。

実は柔軟剤による香害はプラスチック問題でもある。「香が長持ちする柔軟剤」は、極微細なプラスチックカプセルに香成分を封じ込めている。洗濯の際に衣類に付着させ、体を動かす度にカプセルがはじけて香り成分を放出。香も長持ちするが「超マイクロプラスチック」を環境中に放出し続ける。今「プラスチック問題」には多くの関心が集まるようになった。委員会では「香害はプラスチック問題」と指摘するにとどめたが、今後はこの視点による啓発も必要と考える。
香害問題の本質の解決にはならないが、少なくとも洗濯の柔軟剤の過剰なまでの「香の長持ち」は、環境問題として取り上げられるマイクロプラスチックをまき散らしながら得られているものだ、ということはもっと知られてしかるべきだろう。生活者ネットワークとしてもさらに発信を強めていきたい。(よしだ・ゆみこ)