年輪の会 研修会参加報告~精神障がいへの理解は進んでいるか?

研修会終了後、会場に残っていた参加者が講師の中住さんを囲んで記念写真を。前列右から3人目が中住さん。私、吉田ゆみこ(後列一番右)も仲間に入れていただいた。

9月1日、「年輪の会」の研修会のご案内をいただいたので参加した。

年輪の会は、品川区の精神障がい者の当事者会だ。品川区には、精神障がい者の家族会として精神保健福祉家族会(通称 かもめ会)があるが、それより長い45年の歴史を持っている。
年に一回の講演会のほか今回のような研修会を年に数回行っている。その他、講演会の報告書も掲載した文集も毎年作成し、精神障害への理解を深めて行く活動を続けている。

今回の研修の講師は精神保健福祉士の中住孝典さん。40数年にわたって精神科病院勤務のソーシャルワーカーとして患者さんの社会復帰の援助や生活支援、受診受療援助をされてきた。その経験から、患者さんの生活支援を本格的に行うには地域に出なければならないと感じ、地域での相談支援事業や就労支援事業に取り組んでこられた方だ。こうした経験の中から、支援は患者さんだけでなくご家族へも向けられる必要があるとして、2013年には家族の方たちと共に地域家族会を発足されたという。

お話はご自身の経歴=精神科医療に関わってきた経緯と経験を紹介されながら、その経験を踏まえて、精神科医療の問題点や地域での生活支援の課題について話された。理論としての精神医療や支援の話ではなく、ご自身でも迷い悩みながら当事者の方たちに寄り添う支援の在り方を模索して、なお今も時に迷いつつ正解を求めて活動を続けておられる様子がうかがえるお話だった。

統合失調症や双極性障がいは、誰でもいつでもなるかもしれない疾患であるにもかかわらず、私は不勉強で障がいの中でも精神障がいへの理解は充分とは言い難い。その私にとっては、中住さんのご自分の目線でのお話はとても分かりやすく胸に響いてきた。
そして、お話の途中から「これは何ともったいない…」という思いを強くした。

この日の参加者はほとんど(私以外ほぼ全部?)が当事者かご家族のようだった。この話は、当事者以外の人こそ聞いて欲しい内容だ。障害者総合支援法ができても、障害者差別解消法ができても、残念ながら障害者への理解の歩みは遅々たるものである。中でも精神障がい者への理解は遅れている。また、理解したいと思っている人にとって情報が少ないのも精神障害ではないだろうか。年輪の会の研修会は、地域で精神障がい者を支援していく上で考えるべきことがよく分かる貴重な機会と思う。

次回の研修は10月27日(日)13:00~16:30 スクエア荏原3F中会議室。
参加費は無料で誰でも参加できる。
講師は國井泰人氏(福島県立医科大学会津医療センター 精神医学講座准教授)

テーマは第一部が「統合失調症の現在地点~統合失調症は変容したのか」。
第二部は「東日本大震災と福島第一原子力発電所事故後のメンタルヘルス」

参加希望者は年輪の会事務局 TEL&FAX 03-6875-0433 E-mail teikichi@yg8.so-net.ne.jp までご一報を。

この日の研修会も終わりに近づき質疑応答の最後のころ、年輪の会の代表から「精神疾患の患者の本当のしんどさを分かっていないのではないか?患者は医師を頂点とするヒエラルキーの最底辺に位置づいている現実、医療保護入院という名目で、保護室という名の隔離室に患者が押し込められている現実を本当にわかっているのか?」という強い問いかけがあった。この日の講師である中住さんに、そして議員として活動している私に、そして社会に向けられた心からの叫びとして重く受け止めさせていただいた。(よしだ・ゆみこ)