品川区のプラスチックごみ削減対策は?~第三回定例議会報告

一見きれいな海も、実態は多くのプラスチックごみで汚されているのが今の現状だ。「海洋プラスチック」問題として取り上げられることが多いが、空気中からも採取されたという報道もあった。まさに、待ったなしの対策にすべての人が取り組む必要がある。


今回は、決算特別委員会での質疑の中で取り上げたことの一つ、品川区のプラスチック削減対策についてご報告をする。
環境対策待ったなし!
地球温暖化による気候変動問題やプラスチックごみによる海洋汚染など、環境問題がメディアに取り上げられることが多くなった。相次ぐ台風のこれまでにない猛威は気候変動を私たちに否応なしに実感させる。海洋プラスチックは、例えば2018年の夏、神奈川県鎌倉市の浜辺に打ち上げられたクジラの赤ちゃんの胃の中からプラスチックごみが出てきたなどの報道により、多くの人々の関心を呼ぶようになった。

環境省の調査では2016年度に全国で回収した漂着ごみはおよそ3万トン、種類別ではプラスチックごみが最も多かったとのこと。外国から流れ着いた物もないわけではないが、多くは日本国内から出たプラスチックごみということだ。このままだと2050年には海のプラスチックごみは魚の量を上回ると予測する学者もいる。自治体でも早急な対策が必要だ。

危機感薄い品川区
ところが品川区の環境計画では大きな課題とは捉えておらず、政策の優先順位は低いまま。「品川区だけでどうこうできる問題ではない」という発言さえあった。しかし、プラスチックごみは、きちんと分別してもなお1割程度は環境中に排出してしまうという性質がある。つまり分別をしている人も含めて私たち全員が加害者であり、被害者でもあるのが特徴だ。まさに一人ひとりが解決に取り組む必要があり、自治体こそが参加型の政策を具体的に示すことができるはずだ。

品川区が進める容器包装プラスチックの回収とリサイクルももちろん必要な施策であり、今後も推進しているべきだが、これだけでは根本解決にはなり得ない。

解決策は発生抑制!
石油を原料とするプラスチックは、使い易くするために可塑剤など様々な添加剤が使われており、燃やせばそれらの有害化学物質が気化して環境中に排出されてしまう。私たちの生活にとって便利で、今や欠かすことが出来ないプラスチックではあるが地球環境への影響を考えれば解決策は発生抑制、すなわちなるべく使わないことしかない。生活者ネットワークは「廃棄物減量等推進会議」の一員として、廃棄物全般について発生抑制をもっと強く打ち出すべきと主張し続けているが、やはり具体的施策はリサイクルが中心になっているのが現状だ。品川区は今こそ具体的な発生抑制策に踏み出さねばならない。

今こそ具体策を!
レジ袋を今年度中に有料化し最終的には全面禁止をめざしている京都府亀岡市がよく知られているが、他にも公共施設でのペットボトルの販売をやめ、かわりにウォーターサーバーを置いて水を提供するなど、自治体自らが一歩踏み込んだ取り組みを始めている事例が報告されている。

先日、10月30日から11月2日にかけて建設委員会の行政視察に参加し、その一環で京都市のごみ減量の取り組みについて視察した。そこで提供された資料の中に祇園祭でリユース食器を使っている事例が紹介されており、衝撃にも似た感動を覚えた。祇園祭のような観光客も含んで人出が多く、したがって管理は難しいであろうイベントでリユース食器利用に取り組むことにごみ減量に対する強い意欲を感じたからだ。

品川区でも、例えば区としてのイベントにリユース食器を使う、そこでの配布物からプラスチックを一掃する、または各種イベントにリユース食器を貸し出すなど、区の環境への取り組み姿勢を示す施策に一歩踏み出すべき時だ。(よしだ・ゆみこ)