品川区のケアラー支援の認識は?~第2回定例議会報告 その2~

7月11日、大井町駅イトーヨーカドー前にて、第2回定例議会終了後の報告駅頭を実施。

新型コロナウイルス感染症予防のための外出制限の日々は、家族介護を余儀なくされている方たちをより孤立させたのではないかと心配している。昨年度の一般質問の中でもケアラー支援を求め、まずは実態調査を求めた。3月の予算特別委員会でも追及したところ調査が少しは進んでいることを確認。そこで今回は調査で分かったダブルケアラーなどへの支援策を質問したところ、「在宅介護支援センターが行う総合相談で本人や家族の状況を把握し、適切な支援を行っている」「様々関係部署が、それぞれの情報をつかんだところの専門職が多職種の連携を取りながら行っている」など抽象的な答弁ばかり。業を煮やして再々質問で「一例でよいので具体的な支援の事例を」と求めたが、示されたのは「在宅支援センターに高齢者の生活や介護についての相談があると、ケアマネジャーがその話を聞く際に本人と家族、それを取り巻く環境について調査する。その中で、ダブルケアなどでケアマネジャーの所管範囲だけで対応ができないものについては、例えば子育て応援課や保育課など担当部署につないでいる」というもの。つないだ結果どのような支援が行われたのか具体的なことは結局不明なままだ。

また、ケアラー支援条例については「各分野での家族介護者支援については、それぞれの計画の中で取り組まれており、多職種連携も含めて今後も当然に推進していくものと考えている」ので考えていないとの答弁。つまりは、区として充分に介護者支援は行っているという認識だ。ケアラーが置かれている困難な状況への理解が不足している。

しかし再質問でヤングケアラーについては、「家族をケアするという年齢や成長に見合わない重い責任を負っていることであり、養育上のマルトリートメントにつながる課題があると認識している。本来守るべき子どもの権利を守るという視点で、高齢者、障害者の支援をする福祉部門と、児童や家庭に係る関係者で構成する要保護児童対策地域協議会など子どもの部門と連携をしながら、多層的に支援を行っていく。」答弁。「ヤングケアラーは子どもの権利にかかわる問題」との認識を確認できたのは収穫だ。

質問の中で一般社団法人日本ケアラー連盟発行のパンフレット「ケアラーを社会で支えるために」に掲載されていた元ヤングケアラーの声を紹介したことが奏功したのかもしれないと思う。今後も品川区のケアラー支援を進めるためには、日本ケアラー連盟の知見を得ながら区に対する粘り強い啓発を続けることが必要だ。(よしだ・ゆみこ)