「市民参加で利用しやすい区庁舎を考える~講演とワークショップ~」を開催しました。

荏原第一区民集会所で定員90名の会場で、参加者を30名に絞って「密」を避けて実施したワークショップ。人数が少なかったのは少し残念だったが意見はたくさん出て盛り上がった。ワークショップ後の各グループ発表の様子。

現在、品川区の区庁舎建替え計画が進行中だ。
品川・生活者ネットワークは「市民参加のまちづくり」を政策の柱の一つに掲げており、区庁舎の建替え計画の議論には様々な立場の区民が関わるべきと考えている。

そこで、品川・生活者ネットワークとしても「こんな区庁舎であってほしい」という市民発の案を作ろうと活動している。これまでにもニュースやWEBを使ってのアンケート調査を実施してきたが、話し合いの場も必要であると考え、9月5日(土)荏原第一区民集会所で講演とワークショップの会を開催した。

□講演

講演は認定NPO法人まちぽっと理事の伊藤久雄さん。
講演ではいくつかの自治体での庁舎建替えの際の市民参加の事例が紹介された。

一口に市民参加といっても、基本構想、基本計画、基本設計、計画のどの段階での参加か、手法もアンケートやワークショップなど様々だ。町田市の市民ワークショップは参加者64人がグループに分かれ全6回されたとのこと。また各務原市や浦安市ではユニバーサルデザイン意見交換会を実施、各務原市では障がい者も参加してほかの自治体の施設見学なども行ったとの事、ぜひ品川区でも実施したいものだ。

また、施工ワークショップはやった方がいいというアドバイスがあった。一般に市民は計画や設計の図面を見ただけでは気づけないことが多く、特にユニバーサルデザインや案内表示などへの意見は建物が立ち上がり、且つ完成前のタイミングが有効ということだ。これも是非参考にしたい。

講師の伊藤さんをはさんで右が田中さやか、左が吉田ゆみこ。

□ワークショップ

講演後に5グループに分かれてワークショップを行った。

実は講演の冒頭にこの建て替え計画について問題点が2つ指摘された。
◆広町地区への移転が既定事実とされていること。(この政策決定の問題のご報告はこちらから
◆議論が「庁舎機能」の検討から始まっていて、課題の洗い出しがないこと。

1点目についてはもっともな指摘であり、そもそも建て替え自体が本当に今必要なのか、ということも大きな問題だ。その議論も是非必要なのだが、しかし現在区としての庁舎機能検討がどんどん進んでいる現実がある。今回のワークショップはそこへの市民案を提出することを優先し、課題の洗い出しなどを中心に実施した。

話し合った内容は①あなたはどんな時区役所に行きますか?②現在の区役所で不便不都合を感じることは?③どんな機能が必要ですか?の3つ。
ワークショップから分かったことは、あまり区役所には行かないということだ。今後は地域センターの機能の拡充のほうが区民の利便性は上がるのかもしれない。
②と③で各グループ共通に出たのは案内や建物の分かりにくさだった。特に視覚、聴覚の障がいの方への案内は大きな課題がある。そのほか、防災機能の一つとして、災害時には帰宅困難者のみならず、路上生活者も受け入れる機能が必要とか、子どもが自分で相談できる窓口や情報公開専用の窓口などがあればよいなど、様々な意見が出た。

これまでのアンケート結果や今回のワークショップでの議論をもとに、「区庁舎市民案」をまとめていこうと考えている(よしだ・ゆみこ)