第44号議案 学校教育職員の給与に関する条例の一部を改正する例に反対しました。~第2回定例議会報告 その2~

第二回定例議会に上程された議案では、第44号議案に反対した。本日はその理由をご報告する。
本条例は、品川区として独自に採用した教員に、統轄副校長という立場を創設することに伴って、給与条例を改正するものだ。改正理由は以下の通り。
公立学校の教員は都の教育委員会が採用し、各自治体に配置されるのが基本だ。それに対して、品川区では独自に品川区の固有教員を採用している。しかし、区の固有教員は法律の制約により校長職につける6級職にはなれない。そこで、区の条例改正により区固有教員が6級になれるようにするという。そして6級職とした区固有教員を「統括副校長」という校長職に相当する職として、義務教育学校へ任用・配置するというものだ。
つまり、義務教育学校には校長、校長職相当の統括副校長、そして副校長が存在することになる。

区の固有教員が6級職になれるようにすることは賛成だ。しかし、義務教育学校に統括副校長という新たな職を配置するため、という理由には疑問が残る。
品川区は、区独自に教育要領を定め、小中一貫教育や市民科、英語教育などを推進するとしている。特に義務教育学校の校長はその一翼を担う立場であると位置づけている。だから、その義務教育学校に校長とは別に区固有教員の統括副校長を配置するというのだ。
委員会審議においても、指示系統に混乱は生じないのか?地域の人たちから分かりにくくはないのか?PTAや子どもたちから見てどのように見えると考えるのか?など各委員から疑問が次々に出された。
どれも当然の疑問であり、私も同様の疑問を持った。生活者ネットワークとして最終的に「本議案に対しては反対が妥当」と判断した理由は制度設計にあたっての合意形成の不備だ。制度設計の手順を質問した際の答弁からは、現場の教員や地域の人たちへの説明はされていないことが読み取れた。これでは学校の現場で、教員、生徒、児童、PTA、そして学校を見守る地域の人々に混乱が起こることが予想される。
理事者からは、統轄副校長について「学園長」という呼称を検討している、という答弁もあった。一つの学校に校長と学園長と副校長が存在するというのだ。それを「悪い」と決めつけるつもりはないが分かりにくいのは間違いないだろう。そのような制度にするなら、決める前に現場の校長、教員、PTA等々に十分説明をし、意見を聞いて納得してもらうための努力と時間が必要だ。
当事者たちの納得を得てからこの制度は実施すべきであり、現時点では時期尚早と判断し反対した。(よしだ・ゆみこ)