品川区、再開発事業プロセスに異議あり!~第3回定例議会報告 その①~

2021年4月13日、区庁舎屋上から広町再開発エリアを臨む。今はこれら施設の多くはすでに取り壊されている。写真中央あたりに見える建物が劇団四季に貸し出していた区有地に建てられたもの。その向こうには旧ひろまち保育園があった区有地がある。再開発に当たってはJR東日本の土地と「換地」が行われ、元区有地だった土地はJR東日本の事業地となる。その「換地」が区民の目から見て適切かどうかは大勢の目で確認していく必要がある。

品川区内では様々な地域で再開発計画が進行している。
一概に「再開発」に反対はしないが、今区内で進められている再開発には様々な問題がある。
多くが「再開発=超高層ビル」となることも問題だが、合意形成の過程にもっと大きな問題がある。

第3回定例議会の決算特別委員会の総括質疑では、広町地域の再開発を事例にとりあげた。
広町開発事業は、現区庁舎がある地域と旧ひろまち保育園跡地や劇団四季に貸し出していた区有地、そしてJR東日本の所有地を含めて一体の再開発事業だ。この事業が多くの区民の関心を呼ぶのはいくつか理由があり、最大の理由はこの事業地の中に区民の財産である区有地が含まれていること、そして現区庁舎の建替え計画があるということだ。区有地を、JR東日本の土地と交換して現区庁舎の土地と併せて区庁舎建替え等を行い、駅に近いエリアをJR東日本が再開発するのだ。区民としては区有地が適切な価値でJR東日本の土地と交換されるのか関心を持つのは当然のことだ。

区有地の所有者は区民!
問題の第一は、事業地に区有地が含まれているのに「区有地は区民の財産」と認識していない点にある。
一例をあげよう。7月12日、本事業の「都市計画原案」説明会が開かれた。この説明会は都市計画法16条2項に該当する説明会で、土地の所有者など限られた権利者が対象となっている。しかし、前述の通り区有地が含まれる以上、当然区民は説明を受ける権利があるはずだ。ところが、区はこの説明会開催を区民へ周知せず、参加呼び掛けもなかった。区の担当者、JR東日本関係者、東急電鉄関係者など限られた人たちで実施され、区議会への報告も8月になってから。区の行政は区有地を誰のものと考えているのか。

区の説明不足も大問題!
事業は「土地区画整理事業」として行い、その事業の中で換地が行われるという。
ところが、区はこの「土地区画整理事業」の具体的な進め方について議会でも、区民への都市計画説明会でも説明しない。2021年2月24日の建設委員会では生活者ネットの質問への答弁で、初めて土地区画整理事業の施行者は「UR都市再生機構を予定している」と報告したが、「まだ予定だから」ということで区民への説明はなし。質問があれば応える、という姿勢のようだ。
「施行者」についても、予定であることも含め、その役割について区民に分かりやすく説明し、事業への理解を進めるべきではないのか。
説明会自体にも大きな問題がある。
都市計画案の説明会に参加した。この説明会は、都市計画決定の手続き上、法的に必要な大事な説明会だ。そうであるにも関わらず、たった一回の開催、時間も1時間だけだった。この時間内に充分な説明を行い、質疑も行うのは土台無理な話だ。
感染症の緊急事態宣言下であることを理由にしていたが、もうすぐ宣言解除が取りざたされている時期の開催だった。時期を延ばすか、複数回開けば済むことではないか。

品川区の再開発事業は見直しを!
説明不足の問題は、区内各地の再開発事業で起きている。制度や法の説明が不足し、決定の手順も不明瞭。結果として地域の人たちへの理解が進んでいないという点は共通だ。本来、再開発準備組合は権利者であるか否かは関係なく、地域の人たちが参加して再開発への意見交換を行い合意を高めるために立ち上げる任意の団体だ。残念ながら現在の各地の準備組合は、本来の目的通り機能していないようだ。
区は再開発を推進する立場の区民だけでなく、懸念や不安を持つ区民へも積極的に再開発準備組合など話し合いの場への参加と、そこでの活発な議論をこそ促すべきだ。さらには区としての丁寧な説明にも心を砕くべきだ。(よしだ・ゆみこ)